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2021年01月18日

最新のデジタルアセットマネジメントシステム:CIERTOと新ターボサーバーの開発背景
DTPプロダクションワークフローの働き方改革(在宅/時短/リモートワーク)を実現する最新機能

ターボサーバー誕生の背景

ターボサーバーは1995年にUNIXベースのAFPシステム(注1)を搭載したDTPシステム向けのファイルサーバーとしてリリースされた。当時業界において大きな関心を集めたのは業界初のソフトウエアベースのOPI機能(InterSepOPI注2)やMacとUNIXのリムーバブル記録媒体(当時はMOが主流)のフォーマットの互換性を提供するソフトウエア(TransferPro注3)を搭載していた事だ。

OPI機能によりAppleTalkでは限界のあった大きなDTPデータのネットワークの負荷を軽減したり、 UNIXサーバーからRIPへのデータ転送をTCP/IPで高速転送、場合によってはリムーバブルメディア で直接RIPに取り込む等プロダクションワークフローが大幅に改善された。

さらに最も革新的であったのは業界初の画像データベース(製品名:MediaBank 注4)をオプションで提供していた事だ。 MediaBankにより商品画像にメタデータを登録しDTPシステムに流し込んだり、商品情報として顧客に提供する付加価値が生まれた。その後インターネットとブロードバンドの普及に伴いコンテンツ制作もDTPからWEBへと拡がる。

2000年に入ってからは米XINET社(注3)と独占的な業務提携を行いターボサーバーはWEBブラウザを中核にしたワークフローに発展し、あらゆるデータがブラウザからプレビュー可能になり、インターネット経由のデータの集配信やデータベースを活用した顧客サービス展開などコンテンツ制作環境の生産性向上と同時に顧客サービスを実現する営業支援のシステムとして進化して行く。

マーケットとビジネス環境の変化

2000年代後半のスマートフォンとタブレットの登場、そしてネットワーク速度の向上とSNSの普及によってコンテンツを制作提供する側とコンテンツを使う側のポジションの境界線が不明瞭になってくる。
コンテンツは市場への訴求力向上を求めて動画や高精度の画像・CG等取り入れ複雑化してきた。
さらに広告販促媒体の多様化に伴いワンソースマルチユースニーズが高まりより速くネット上へ情報をアップする必要性も出てくる。
その結果コンテンツを使う側の内製化が始まり、そして自社内でのコンテンツ管理のニーズが高まり使う側がデジタル化された情報を管理するデジタルアセットマネジメント(DAM)の導入が進む。この時期コンテンツ制作を得意とする印刷会社や広告代理店も顧客サービスの一環としてXINETによるDAMの機能を搭載したターボサーバーを導入している。

CIERTOの開発経緯とターボサーバーへの搭載

企業におけるDAMに対するニーズが動画や3DそしてCAD等へ高まる中で2016年CIERTOはリリースされた。これらのあらゆるコンテンツをブラウザからプレビューで管理する事はもちろんXINETシステムでは実現出来なかった多様なデータベースのニーズへも対応し複雑な商品情報管理(注4)を実現する。導入企業はこの商品情報システムからカタログやWEBCMSそしてECサイトへと販促活動を拡げることができる。 その後バージョンアップを続づけオンライン校正機能やRPAを使った制作オートメーション、AIによる音声認識や自動タグ付け機能等サポートしてきた。
現在それらの機能の一部は標準機能として新ターボサーバーに既に搭載されている。
導入システム形態もオンプレミスからクラウドそしてNASとクラウドを同期出来るハイブリッドなど様々なニーズに対応している。

AdobeCCとの連携を強化した最新機能

2021年に出荷されるCIERTOの最新バージョンではCIERTO Linkという機能がinDesin・illustrator・PhotoshopのPlug-inとして提供され、インターネット経由でこれらのアプリケーションから直接CIERTOのデータベースをブラウズしドラッグ&ドロップで制作作業が行えるようになる。ダウンロードが不要になりデータをCIERTOの指定フォルダーに保存するだけでアップロードは不要になる。CIERTOとAdobeCCが連携する事により、各種アプリケーションからのデータの検索やアクセス権限の設定が可能になった。先にリリースされているオンライン校正機能もCIERTOで利用できるので、これまで困難であったコンテンツ制作のリモートワークや在宅勤務の可能性が大きく広がってきたといえる。

UNIXベースのAFPシステム(注1)

商用ベースで良く使われていたのは米XINET社のKA-Shareと独Helios社のシステム。UNIXサーバーにインストールする事によりネットワーク上のAppleMacintoshがAFPでアクセス可能になる。当時はDTPの主流はMacintoshだった。

OPI機能(InterSepOPI注2)

Open PrePress Interfaceの略でDTPで取り扱う画像データのサイズが大きくなりがちなので、サーバからのダウンロードやアップロードの負荷を削減するためにレイアウト専用のサイズの小さい粗画像をサーバ側で生成し、ネットワーク上の端末は粗画像を使いDTP制作を行うシステム。レイアウトやデザインの完了後サーバに転送するとOPIサーバはオリジナルの高解像度データに自動的に差し替えてネットワーク上のRIPサーバ( イメージセッターやCTPのコントローラー)に送る仕組みなのでMacintosh端末の転送待ち時間が大幅に削減された。当時のMacintoshはかなり高額であったのでこのシステムは有効であった。
VPJは米ボストンのAichitype 社と業務提携し同社のIntersepOPIの国内販売を開始した。

フォーマットの互換性を提供するソフトウエア(TransferPro 注3)

DTPではオフラインメディアとしてMOが主流であったがUNIXやWindowsとMacintoshではフォーマットが異なりお互いにデータを読み取ることが出来なかったが、TransferProを使うと異機種間でのフォーマットの互換性を持つことが出来る。DTP等の大容量のデータの持ち運びにはスニーカネットとして重宝された。

MediaBank(注4)

米Architype社が開発したMediaBankを業界に先駆けていち早く投入した。MediaBankはOPIサーバーとも連動する事によりDTPマーケットではユニークなシステムであった。

米XINET社(注5) 

XINETは米バークレーの会社でUNIXサーバー向けのAFPソフトウエアの開発会社としてMacintosh を多用するマーケットに多くの実績を持っていた。その後独自のOPI機能を搭載し、WebNativeは業界初のブラウザベースのファイル管理システムとしてリリースされる。VPJは同社と独占ライセンス契約を締結しその後搭載されたデータベースVentureを共同で国内リリースする。このVenture は業界に先駆けたDAMとして国内は元より世界的にも成功を収めている。

商品情報管理(PIM 注6)

コンテンツ制作の現場では画像情報にメタデータをサポートするDAMシステムを商品情報データベースとして活用してしているが、商品のサイズや色違い、組み合わせ商品等を管理してWEBやDTPの媒体制作に展開するにはDAMシステムでは不十分で別途拡張機能が必要になる。CIERTOはPIMの拡張機能を持つユニークなDAMシステムである。

関連情報:ターボサーバー

ターボサーバーは、紙面・写真・イラスト・音声・動画など企業が持つデジタル資産を中核に、情報統合と制作プロセスの集約を実現する統合型ワークフローサーバーです。効果的なコンテンツ管理・編集・制作環境の構築により制作ワークフローを効率化し、様々な媒体に向けた配信と情報統合をサポートします。印刷・出版業界における媒体制作の効率化から多メディア配信・情報統合前サポートし、生産性向上とコスト削減を強力に支援します。