CIERTO開発の背景

DAM(デジタル・アセット・マネジメント)って何だ?
CIERTO開発の背景とマーケットの変遷

VPJは1994年の創業時、DAM(デジタル・アセット・マネジメント)に注目していた国内唯一のベンダーです。創業当時のコンテンツ制作といえば印刷や出版・放送・映像と言ったマスメディアが主流であり、これらの制作現場は数千万円のシステムを導入していました。MacやPCによるDTP(デスクトップバブリシング)やNLE(ノンリニアビデオ編集)は、ようやく普及の兆しが見えて来た頃です。

当時、VPJのビジネスは、このマーケットに向けてローカルエリアネットワーク(LAN)上にUNIXサーバーでMacやPCを統合し生産性を高めるという提案でした。1997年にはDTPやNLEの普及も進み、海外ベンダーとの業務提携により、国内初のDAMをリリースしております。SQLベースのDAMの構築によりメタデータでの検索やデータの管理は進みましたが、本格的なDAMのメリットは2000年以降のFTTHによるインターネットの高速化に伴う環境の変化です。インターネット経由でDAMにアクセスする事によりコンテンツ制作に関わるプレイヤーが時間や距離の制約も無く情報を共有しコンテンツの制作・管理・配信をストレスなく行う事が可能になりました。一方、この頃から出版業界はもとより企業のマーケティング活動のデジタル化も進み印刷需要も多少陰りが見えて来ました。

極め付けは2010年以降のiPhoneやiPadの普及です。多くの企業のマーケティング活動が従来のカタログやDM等の紙媒体からWeb/EC/SNSそして動画の活用へと拡がり、企業ユーザー自らが内製化に走り、多様化する媒体のコンテンツの制作・管理・配信のためのDAMシステムの導入が始まります。その結果、VPJはあらゆる業種・業態の企業ユーザのニーズに応えるために、2015年にはDAMシステムの自社開発に着手、そして2年後の2016年末に「CIERTO」の初期バージョンをリリースしています。その後、「CIERTO」の導入が進み、2024年の現在では250ライセンスを出荷するに至っております。

この様にVPJは一貫してコンテンツ制作環境に向けて、現在で言うDXソリューションを提供してきましたが、様々な技術革新による環境の変化に伴い、顧客であるマーケットも大きく変化してきました。そして「CIERTO」は現在、製造・流通などの一流ブランドから金融・不動産・ゼネコンそして製薬会社に至る多岐に渡る業種・業界で利用されています。

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CIERTOの開発コンセプト

昨今、あらゆる業種業態の企業が事業活動を行う上で、様々な媒体とデバイスに応じた適切なコンテンツを自社で制作し、管理、配信する様になってきました。その背景には、主に販促活動において自社の商品やサービスをタイムリーに市場に伝え、競合との差別化を訴求し、売上と利益の向上という事業目的があります。しかしながら、Web / SNS / EC / デジタルサイネージ等のデジタル媒体やDM、カタログなどの紙媒体に向けた各種コンテンツの制作や管理そして配信ワークフローにおいて、多くの企業が課題を抱えています。つまり、昨今の積極的な販促活動では複数の媒体を活用するマルチチャネル化が進んでおり、制作環境の生産性の向上と複数媒体に向けたブランディングの統一が重要なテーマになってきているのです。

CIERTOは、各種媒体のコンテンツ制作を進める上で必要な動画や写真そしてグラフィクスなどのリッチコンテンツを管理し、スマホやタブレットなどの多様化するデバイスへのコンテンツ配信を支援するDAMとして誕生しています。

CIERTOの基本コンセプトの一つとしてあげられる重要な要素が、「ワンソースマルチチャネル」です。一つのデジタルアセットを複数の媒体で共有する事により媒体制作の重複作業を低減し、各媒体のコンテンツやブランドイメージを統一することが可能になります。

CIERTOでは「ワンソースマルチチャネル」を実現するために、各種媒体に応じて、動画や画像のフォーマットやカラースペースを変換出来る様になっています。たとえばECサイトに商品動画や画像を掲載する場合、Amazonと楽天もしくは自社サイトでは動画や画像のサイズやフォーマットそしてピクセル数等は異なります。Webサイトで活用している画像データをカタログなどに転用する場合もRGBからCMYKに変換が必要になります。タブレットで活用するには画像のフォーマットはPNGが適切になるでしょう。これらの変換作業を行うには動画や画像の作成や修正を行うためのアプリケーションが必要であり、社内や外部の専門家に依頼する事になります。さらに依頼するにはファイルサーバーからデータを探し出し、ダウンロードし何らかの形で転送する必要があります。転送するデータもアプリケーションが無いと確認出来ないので、間違えていたらやり直しです。しかしながら、CIERTOを使えばこの様な変換作業は、複数点あってもほんの数秒で全て完了します。

CIERTOの提供する「ワンソースマルチチャネル」により、販促活動の生産性を大幅に向上する事が可能になり、更に複数の媒体向けに共通したメッセージを届ける事が出来るのでブランディングの強化と統一が実現します。

「CIERTO」の拡がるマーケットポテンシャル!

「CIERTO」は顧客の変化に伴い、あらゆるニーズに柔軟に対応できる様にリリース当初より提案コンセプトも機能も年々強化されています。 先ずはクラウド対応、リリース当初はオンプレが中心でしたが、のちにマイクロソフト社のAzureに対応しました。一方で、コンテンツ制作環境では大容量の画像や動画データを扱うことからクラウドを避けてオンプレでの運用を望む顧客の声がプロダクション中心にあります。それらのニーズに比較的安価に対応出来るように、ローカルストレージとCIERTOクラウドの連携を可能にするハイブリッド対応も行っています。さらに様々な業種や業態に対応するために「CIERTO」はDAMとしての機能強化を図りサービスの範囲を拡大してきました。

制作工程のプロジェクト進行を支援するWM(ワークマネジメント)は、制作ワークフローの自動化やスケジュール管理、そしてオンライン校正を含む複雑な承認プロセスをサポートします。「CIERTO」は、WM(ワークマネジメント)との連携を実現し、より強力にコンテンツ制作プロセスを支援し、生産性と品質向上を実現しています。

また、クリエーターがWebブラウザから直接「CIERTO」にアクセスし、Adobe Creative Cloudと連携して制作作業を行える「CIERTO Link」を開発しています。これらの機能は2020年以来続いたCOVID-19 のパンデミック環境で唯一クリエイティブワークの在宅勤務やリモートワークをサポートできるシステムとして高い評価を得ています。

2021年にリリースされた「CIERTO PIM」は今後もっとも期待される機能の一つです。プロダクト・インフォメーション・マネジメント(PIM)は多くの製造・流通企業の商品情報を管理するソリューションです。PIMはアセット単位で情報を管理するDAMのアプローチとは異なり、商品単位で情報を管理出来るシステムです。商品に関わるあらゆる情報の他、商品写真や動画等のアセットはDAMと連携することでWebサイトやECサイトそして大規模カタログ等の販促媒体に展開が可能になっています。「CIERTO PIM」はDAMとシームレスに連携できる国内唯一のソリューションです。

この様に「CIERTO」は、創業時の印刷・出版や放送などの分野から幅広い業界へとマーケットの範囲を大きく拡げる事になりました。 2019年12月には総務省の支援するASPICクラウドアワードにおいて「CIERTO DAM」が「総合グランプリ」、そして2024年には「CIERT PIM」が「準グランプリ」を受賞しております。当アワードについては、長年培ったコンテンツ制作分野における卓越したノウハウと技術力が評価され、同時に現在最も必要とされているDXソリューションの一つとして認められた結果であると考えています。

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