API連携が切り拓く、業務効率とビジネス展開の新たな可能性 ~CIERTOが支える情報資産運用の次世代基盤とは~

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はじめに――「情報を持っているだけ」では意味がない時代に
近年、企業のデジタル資産管理手法は多様化し、単なる情報の保管から「いかに効率的に活用するか」が重要なテーマとなっています。​特に、PIM(Product Information Management)やDAM(Digital Asset Management)といった情報管理基盤において、API連携が業務効率化と新たなビジネス創出の鍵を握っています。

API連携とは、異なるシステム間のデータや機能を連携させるためのインターフェースであり、近年のデジタルサービスにおいて不可欠な技術基盤となっています。情報の受け渡しがシームレスかつリアルタイムで行えるため、社内の業務効率化はもちろん、外部パートナーや顧客への価値提供の質も飛躍的に向上します。

本稿では、VPJが提供するDAM PIMソリューション「CIERTO(シェルト)」のAPI連携機能を軸に、具体的な導入事例を通じて、DAM/PIMが果たす役割の進化と、API連携の基礎知識から実践的な活用方法、そして成功のポイントまでを詳しく解説します。

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1. API連携とは?

API連携とは、異なるシステムやアプリケーション同士を接続し、データや機能を相互に利用できるようにする仕組みです。従来は個別のシステムで独立して管理されていた情報を、APIを介して連携させることで、リアルタイムでのデータ共有や自動化された業務フローの構築が可能になります。

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に伴い、API連携の需要は急速に高まっています。クラウドサービスの普及やマルチチャネル戦略の必要性から、企業は複数のシステムを連携させて情報を一元的に管理・活用することが求められています。API連携を活用することで、手作業によるデータ入力の削減、情報の整合性確保、業務スピードの向上など、企業競争力を高める多くのメリットが得られるため、現代のビジネスにおいて重要な戦略的要素となっています。


そもそもAPIとは何か

API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやシステムが持つ機能やデータを、他のプログラムから利用できるようにするための「窓口」や「橋渡し役」のことです。

APIの仕組みは、リクエストとレスポンスという基本的な流れで構成されています。利用側のシステムがAPIに対して「この情報が欲しい」「この処理を実行したい」というリクエストを送ると、APIはそのリクエストを受け取り、適切な処理を行った後、結果をレスポンスとして返します。この仕組みにより、システムの内部構造を知らなくても、定められた方法でデータや機能にアクセスできるようになります。現代のWebサービスやアプリケーションの多くは、このAPI技術を基盤として構築されており、私たちが日常的に利用するサービスの裏側でもAPIが活躍しています。



API連携とデータ連携の違い

API連携とデータ連携は、どちらもシステム間で情報をやり取りする手法ですが、その方式には大きな違いがあります。データ連携は、定期的にデータをまとめて移行・同期する方式で、バッチ処理やファイル転送(CSV、FTPなど)によって実現されることが一般的です。一方、API連携は、必要なタイミングでリアルタイムにデータを取得・送信できる仕組みです。

この違いにより、API連携には即時性と柔軟性という大きな優位性があります。例えば、ECサイトで在庫情報を表示する場合、データ連携では1日1回の更新となり最新の在庫状況が反映されないリスクがありますが、API連携であれば顧客がアクセスした瞬間の正確な在庫数を表示できます。また、API連携は双方向のやり取りが可能なため、データの取得だけでなく更新や削除といった操作もリアルタイムで実行できます。近年のビジネス環境では、このスピードと正確性が競争優位性を左右するため、API連携の重要性が高まっているのです。

2. API連携の仕組み

API連携の基本的な仕組みは、「リクエスト(要求)」と「レスポンス(応答)」という2つのステップで構成されています。まず、利用側のシステム(クライアント)が、APIに対して特定のデータや処理を要求するリクエストを送信します。次に、提供側のシステム(サーバー)がこのリクエストを受け取り、内部のデータベースにアクセスして処理を実行し、結果をレスポンスとして返します。

例えば、CIERTOとWebサイトをAPI連携する場合、Webサイトが「商品ID:12345の画像データが欲しい」とリクエストを送ると、CIERTOはデータベースから該当する画像を検索し、画像のURLや属性情報をレスポンスとして返します。この一連のプロセスは瞬時に完了し、ユーザーには最新の情報がリアルタイムで提供されます。

この連携はHTTPSなどのセキュアな通信プロトコルを使用し、認証・認可の仕組みによって安全に行われます。APIには明確な仕様が定義されているため、開発者は統一された方法でシステム連携を実装できます。このような標準化された仕組みにより、CIERTOはCMS、EC、基幹システムなど多様なシステムと柔軟に連携することが可能になっています。

3. API連携のメリット

API連携は、現代のビジネスにおいて多くの価値をもたらします。ここでは、主な4つのメリットについて、具体的な活用例とともに解説します。


業務効率化とヒューマンエラーの削減

API連携の最大のメリットは、手作業によるデータ入力や転記作業を大幅に削減できることです。従来、スプレッドシートを介してシステム間でデータを移動させる際は、手動でのコピー&ペーストが必要で、入力ミスや更新漏れといったヒューマンエラーのリスクが伴いました。

API連携を導入すれば、システム間のデータ移動が自動化され、情報は常に最新の状態で同期されます。例えば、CIERTOとCMSをAPI連携することで、CIERTO上で更新した商品情報や画像が自動的にWebサイトに反映されます。担当者は煩雑なデータ入力作業から解放され、より創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。

リアルタイムな情報共有と意思決定の迅速化

API連携により、複数のシステム間でリアルタイムに情報を共有できるようになります。従来のバッチ処理では最新情報の反映に時間差が生じ、その間に誤った情報に基づいて判断してしまうリスクがありました。

API連携を活用すれば、在庫管理システム、販売管理システム、Webサイトなど、複数のシステムが常に同じ最新情報を参照できます。例えば、Shopifyなどのオンラインストアとの連携により、在庫が更新されると即座にサイト上の表示が変わり、売り切れ商品の購入トラブルを防げます。また、Salesforceのような顧客管理システムとの連携では、営業担当者が外出先でも最新の顧客情報やキャンペーン素材にアクセスでき、迅速な提案活動が可能になります。

システムの拡張性と柔軟性の向上

API連携の優れた点は、既存システムを大きく変更することなく、新しい機能やサービスを追加できることです。従来のシステム統合では根本的な改修が必要で多大なコストと時間がかかりましたが、API連携であれば各システムは独立性を保ちながら必要な部分だけを接続できます。

例えば、CIERTOをデータ管理の基盤として、初期段階ではCMSとの連携からスタートし、その後段階的にMAツール、分析ツール、翻訳管理システムなどを追加していくことが可能です。この柔軟性により、ビジネスの成長や市場環境の変化に合わせてシステム環境を進化させられます。また、専門性の高い複数の製品を組み合わせることで、自社に最適なIT環境を構築できます。



新規ビジネスチャンスの創出

API連携は、単なる業務効率化にとどまらず、新たなビジネスモデルやサービスの創出を可能にします。蓄積された情報資産をAPIを通じて外部に提供することで、新しい収益源を生み出すことができます。

例えば、地図データを保有する企業がAPIで情報提供サービスを展開したり、気象情報を保有する企業が各種アプリケーションに気象データをAPI経由で配信するといったビジネスモデルが代表例です。

出版業界では、長年蓄積してきた施設情報や観光スポットデータをAPI連携により地図検索サービスとして展開し、新たな収益機会を創出しています。また、教育分野では、教材データベースをAPI連携によって学校や教育機関に提供することで、コンテンツビジネスを拡大しています。

4. API連携のデメリット

API連携は大きなメリットをもたらしますが、導入・運用にあたっては、事前に以下の技術的・非技術的な注意点を理解し、適切な対策を講じることが成功の鍵となります。

複雑性と導入・開発コストの増大

API連携の実装には、API仕様の理解、認証、エラー処理など、システム開発に関する専門知識と高い技術的ハードルが伴います。特に複数の異なるAPIを連携させる場合や、既存システムが非対応の場合は、個別対応による開発コストと負担が大きくなります。


セキュリティリスクと管理の必要性

システム間でデータ交換を行うため、不正アクセスやデータ漏洩のリスク管理が不可欠です。認証・認可、通信の暗号化、アクセス制御、APIキー管理など、多層的かつ厳格なセキュリティ対策を継続的に実施する必要があります。 コンテンツ管理のセキュリティについては、関連記事:情報漏洩・不正利用を防止!コンテンツ管理で見落としがちなポイントもご参照ください。


外部依存と継続的な運用負担

外部サービスのAPIに依存する構造になるため、連携先の障害や仕様変更が自社システムに影響を及ぼすリスクがあります。このため、連携先の信頼性確認と、APIの利用制限を考慮した設計が必要です。また、APIバージョンアップへの対応やパフォーマンス監視など、運用・保守の継続的な負担が発生します。



これらのデメリットを踏まえ、導入前に十分な計画、技術パートナーの選定、運用体制の整備を行うことが成功につながります。

5. API連携の効果~CIERTO導入事例~

【事例1】Webサイトとの連携で商品情報の更新スピードを劇的に改善
―「スプレッドシート地獄」からの脱却

CIERTO導入前の課題

ある企業では、ヘルスケア分野に特化したECサイトを運営しており、扱う商品は100ジャンル以上に及びます。それぞれの商品はジャンルごとに異なる属性情報を持ち、商品登録・更新業務は高度に複雑化していました。

同社では、これらの情報をスプレッドシートで手動管理しており、以下のような課題を抱えていました。


  • タブや管理項目が多く、検索性や更新性が極めて低い
  • 同一情報が複数箇所に分散し、更新漏れや整合性ミスが頻発
  • 商品画像は別途BOXやGoogle Cloudに保存され、情報との紐づけも手作業
  • WebサイトへのCMS反映は半自動+手作業を含む非効率的な運用

これらの状況は、担当者に大きな負担をかけるだけでなく、情報の反映スピードや精度にも影響を及ぼしていました。


CIERTO導入後の効果

これらの課題を解決するため、同社ではCIERTOを導入し、まず情報の一元管理を実現しました。商品情報、カテゴリや属性、画像、補足資料などの関連情報も一括管理できるようになりました。

さらに、CMSとのAPI連携を構築することで、CIERTOで更新された情報がリアルタイムでWebサイトに反映される仕組みが完成し、これにより以下のような効果が得られました。


  • 商品情報の掲載スピードが大幅に向上
  • ヒューマンエラーの削減と情報整合性の担保
  • 複数部署にまたがる業務フローの簡略化
  • 商品画像との自動紐づけによる作業時間の短縮

CIERTOのAPIは柔軟性が高く、CMS以外にも将来的な連携先拡大が可能な設計となっており、今後のDX推進にも寄与する基盤として評価されています。


【事例2】APIを介して広がるコンテンツビジネスの展開
―地図検索用データを軸にしたサービスモデルの変革

CIERTO導入前の課題

ある出版社では、長年にわたり出版事業で蓄積してきた全国の公共施設・商業施設・観光スポットなどの情報資産を保有していました。膨大なコンテンツを持つ強みを活かし、行政や企業向けに全国の公共機関・道路・商業施設等の基本情報を収録した地図検索用データの提供を専用の検索サイトを通じて行っておりますが、以下のような課題を抱えていました。


  • データの更新や管理に多くの手間が発生
  • 検索サイトへの画像登録に伴う容量逼迫
  • 検索サイトに登録できる情報の上限

これらの課題は、検索サイトの充実に大きな影響を及ぼしていました。



CIERTO導入後の効果

これらの課題を解決するため、同社ではCIERTOを導入し、コンテンツビジネスの拡大に向けた画像の管理/活用環境を構築しました。

そして検索サイトとAPI連携を構築することで、以下のような効果が得られました。


  • サイト更新作業の削減
  • プレビュー参照による容量削減
  • 検索サイトに登録できる上限の撤廃

CIERTOは他システムと柔軟に連携できるAPIを搭載しているため、出版事業で蓄積したコンテンツを他のビジネスに対して、効率的に有効活用することが可能です。


【事例3】教育現場を支える情報配信基盤へ
―API活用で実現した柔軟なデータ配信

CIERTO導入背景

ある企業では、教育現場への様々なサービスを手掛けています。その中で新たなサービスとして教育現場への画像・イラスト販売サービスの構想がありました。

そこで同社は、教材情報のデータベースとしてCIERTO構築、ダウンロードサービスサイトとしてCIERTOとAPI連携するフロントシステムの整備に着手しました。教育関係者が、いつでも必要な情報を取得できるようにする仕組みを作りました。



CIERTO導入後の効果

CIERTOをマスタとしたダウンロードサービスを構築したことにより以下のような効果が得られています。

  • 教育現場が利用したいコンテンツをいつでも取得可能
  • ユーザー認証と連携し、権限ごとに透かし付きのコンテンツ提供も実現
  • 画像に許諾番号を自動付与することによる流出対策

CIERTOのAPIを利用することにより、教育現場へのコンテンツビジネスを更に拡大することが可能です。


【事例4】DBとAIを活用して「探す」から「届く」へ
―AI時代のAPIの可能性

CIERTO導入前の課題

ある建設会社では、過去のプロジェクトに関する多くのナレッジが社内に蓄積されていますが、以下のような課題を抱えていました。


  • 設計者の知見やノウハウの属人化
  • プロジェクトのデータが各所に点在し、情報共有が不十分
  • 必要なデータを探す際、保存場所を関係者に都度確認する手間が発生
  • 情報が見つからず資料をゼロから再作成するなど、無駄な工数が発生

これらの状況から、「全員がここを見れば必要なデータがある」という仕組み、そして「必要なデータが即座に取得できる」仕組みの構築が必要でした。


CIERTO導入後の効果

CIERTOをナレッジDBとして導入し、AIを活用した検索システムをフロントに構築しCIERTOとAPI連携することで以下のような効果が得られました。


  • 過去の設計業務の経験をナレッジデータとして設計者が取得可能
  • AIを用いたフロントシステムが設計者に適切な情報を抽出・提示
  • 必要な情報取得のための無駄な作業大幅削減
  • CIERTOの中身を充実させることが、設計業務の効率化と品質向上に直結

これらにより、設計者がよりクリエイティブな仕事に時間を使えるようになりました。そしてフロントシステムのAIは助言を繰り返しながら設計者からフィードバックをもらい、学習していきます。それには過去の設計情報を集積するDB=CIERTOの整備が欠かせません。

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6. API連携を成功させるための3つのポイント

4つの事例に共通するキーワードは、「スピード」「正確性」「再利用性」です。単にデータを管理するのではなく、管理した情報をいかに他システムと連携し、活用していくかが現代の情報資産戦略の肝になっています。

CIERTOは、REST APIをベースに設計されており、他のCMSや業務システム、基幹系ツールと容易に接続可能です。社内外の情報循環を生み出すハブとして機能することで、DXを支えるインフラとしての存在感を発揮しています。

  1. 目的とユースケースの明確化
  2. 「何を、どのように、誰に届けるか」を具体的に描くことで、API設計も効率的になります。


  3. 段階的な導入アプローチ
  4. すべてを一気に自動化するのではなく、重要部分から段階的に連携することで、トラブルを回避しやすくなります。


  5. パートナーとの連携強化
  6. CI(Corporate Identity)やUI/UXを損なわずに、連携先と共に“顧客体験全体”を考える視点が重要です。

7. まとめ:APIは“攻め”の情報資産運用を可能にする武器

情報の価値が経営に直結する時代において、CIERTOのようなPIM/DAMは単なる「整理棚」ではありません。それは、情報を“使う”ための戦略的プラットフォームであり、APIによる連携はその戦術の中心です。

社内システムとの統合によって業務プロセスの効率化を実現し、社外との連携によって顧客提供価値を最大化します。このような“攻めの情報運用”は、CIERTOの柔軟なAPI基盤によって初めて可能となります。

データを持つだけでなく、「活かす」企業へ。
CIERTOは、情報活用の未来を切り拓くパートナーとなるでしょう。
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執筆者情報

ビジュアル・プロセッシング・ジャパン編集部です。マーケティングや商品、コンテンツ管理業務の効率化等について詳しく解説します。

【株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパン について】
デジタルアセットマネジメント(DAM)を中核に、多様化するメディア(媒体)・コンテンツの制作・管理・配信環境を支援するITソリューションをご提案しています。