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顧客体験を進化させるデジタル戦略とは?今、マーケターがDAMを導入すべき理由

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かつて、顧客とのやりとりは限られたチャネルで完結していました。しかし現在では、Webサイト、SNS、アプリ、メール、動画配信など、顧客との接点は爆発的に増えています。さらに、各タッチポイントで顧客は「ブランドらしい一貫性のある体験」を期待しており、少しでも違和感を抱けば、簡単に競合へと乗り換えてしまいます。

この「体験の質」がマーケティング活動の成否を大きく左右するようになった今、企業はただコンテンツを量産するだけでは不十分です。**戦略的にデジタル資産を管理し、あらゆるチャネルで統一された体験を届ける体制=「デジタルアセット管理(DAM)」**が求められています。

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1. マーケティングに求められる「顧客体験の進化」

現代のマーケティングにおいて、顧客体験(Customer Experience:CX)は、もはや付加価値ではなく「競争優位の核」として認識されています。商品やサービス自体の機能・性能で差別化が難しくなった今、企業が顧客との関係性を築き、選ばれ続けるためには、顧客が企業と接触する“すべての瞬間”において、一貫した心地よい体験を提供することが求められています。

顧客体験は、広告を目にしたときの印象、SNSでの投稿、Webサイトでの操作感、商品画像の質、動画のストーリー、アフターサポートでの対応に至るまで、あらゆる要素の集合体です。つまり、単発の施策やチャネル単位の最適化だけでは不十分であり、「ブランドとして一貫性のある体験設計」が不可欠になっているのです。

特に近年では、スマートフォンの普及とSNSの台頭により、顧客の行動は予測困難なほど多様化し、情報接触のスピードも格段に早くなっています。たとえば、あるユーザーがInstagramで商品を見つけ、すぐにブランドの公式サイトにアクセスし、その場で購入を決める――そんな行動が、ほんの数分の間に完結することも珍しくありません。このとき、SNSで見たブランドの印象と、Webサイトのビジュアルやトーンが一致していなければ、ユーザーは一瞬で違和感を覚え、離脱してしまう可能性があります。

また、近年注目されている「ジャーニーベースのマーケティング」や「パーソナライズ戦略」も、すべての前提として“体験の整合性”が必要です。ユーザーの関心やフェーズに応じて最適なコンテンツを出し分けるにも、その素材が整理・管理されていなければ、運用上の負荷が大きく、再現性のある施策にはなりません。

このように、CXを進化させるためには、見た目のデザインやキャンペーン企画だけでなく、日々のコンテンツ運用や管理体制まで含めた「全体最適化」が不可欠です。ブランドが“顧客視点でどう見えるか”を意識し、各チャネルをつなぐ「裏側の仕組み」を整えることこそが、現代のマーケティングにおける本質的な競争力と言えるでしょう。

2. 顧客体験を左右する「デジタルコンテンツ」の重要性

デジタルコンテンツは「体験そのもの」である

現代のマーケティング活動において、企業が顧客と接点を持つすべての場面に存在するのが、バナー、動画、画像、テキストなどの「デジタルコンテンツ」です。これらは単なる装飾や情報提供の手段ではなく、**顧客がそのブランドとどう出会い、どう感じ、どう記憶するかを左右する“体験そのもの”**です。

たとえば、ECサイトでの商品画像や商品紹介動画、SNSに投稿されたキャンペーンビジュアル、Webサイトに掲載されたPDF資料やバナーなど、顧客は企業の提供する多様なクリエイティブを通してブランドを“体験”しています。そして重要なのは、それらのコンテンツが「整っている」かどうかだけでなく、チャネルをまたいでも一貫性のある表現・品質が保たれているかどうかという点です。

つまり、顧客がInstagramで見た広告と、Webサイトのデザイン、カート画面、メールフォローのトーン&マナーにギャップを感じてしまえば、そこには「ブランド体験の分断」が生じます。良質な顧客体験の裏には、整備されたコンテンツ運用の基盤があるということは、もはや常識となりつつあるのです。


コンテンツが増えるほど、体験の質は落ちる?現場が抱える管理の限界

では、企業の現場ではその「一貫性」をどのように実現しているのでしょうか。答えは、多くの場合「属人的かつ煩雑な努力」によって支えられているというのが実情です。

マーケティング部門がコンテンツを制作するたび、社内外のフォルダに散在する素材を探し、似たような過去バナーを引っ張り出し、デザイナーや外部パートナーに再依頼する。その一方で、最新版がどれか分からない、過去に使われた動画が再利用されていることに誰も気づかない、といった管理のほころびが多発しています。

このように、「作ること」には多くのリソースが割かれる一方で、「管理する仕組み」は後回しにされがちです。その結果、コンテンツは次々に増えていくにもかかわらず、その活用効率や再現性は高まらず、むしろ体験の質が落ちてしまうという逆説的な状況を招いています。

さらに、ブランドガイドラインが複数の部門や代理店に浸透しない、過去のキャンペーンの素材を誰が持っているか分からない、各チャネルに最適化されたバージョンが見つからないなど、顧客体験を構成する素材が“迷子”になってしまう事例は、非常に多くの企業に共通する課題です。

このような状態では、いくら「CXを強化しよう」と戦略を掲げても、その土台となる運用が整っていなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。だからこそ、今注目されているのが、**すべてのアセットを一元的に管理・共有できる仕組みである「DAM(Digital Asset Management)」**なのです。

3. デジタル戦略のボトルネック「アセット管理」の実態

デジタル体験の設計が重要であることは、マーケティング部門にとってもはや常識となっています。しかし、その理想を現場レベルで実現できている企業は、決して多くはありません。その最大の理由が、コンテンツ(アセット)の管理に関する仕組みが整っていないことです。



こんなにも非効率?現場で起きているアセット管理の「あるある」

多くの企業では、画像や動画、PDF、スライドなどのデジタルアセットが、

  • 社内サーバー
  • 個人のPCフォルダ
  • クラウドストレージ(Google DriveやDropboxなど)
  • 外部制作会社の共有ツール
といった形でバラバラに保存・管理されています。
その結果、以下のような事象が日常的に発生しています。

  • 「最新版のロゴがどれか分からない」
  • 「前に使った商品動画のファイルが見つからない」
  • 「同じバナーが3回も作り直されていた」
  • 「代理店に共有した画像が古いバージョンのままだった」
  • 「使ってはいけない画像がSNSに投稿されていた」

これらは一見些細なことに見えますが、積み重なることで大きなリスクとコストにつながります。たとえば、ブランドの一貫性が崩れ、消費者に「雑な印象」を与えてしまったり、無駄な再制作によりプロジェクトのスピードが落ちたり、最悪の場合は著作権や使用期限の切れた素材の誤使用による法的トラブルにつながることさえあるのです。


「アセットを探す時間」が、戦略を奪っている

実は、マーケティング担当者が日々の業務でコンテンツを探すのにかけている時間は平均で週に5〜8時間以上とも言われています(※海外調査による)。この「探すだけの時間」は、戦略の検討や効果測定、顧客インサイトの分析など、より付加価値の高い業務から時間を奪っているのです。

しかも、関係者が増えるほど状況は複雑になります。たとえば、商品開発チームが作った画像を、販促チームが使い、代理店がリサイズし、Web担当者が再加工する――このような流れの中で、「どれが正」と言えるかを判断できる人が不在となり、最新版の確認や使用許可の取得に時間がかかるケースが頻発します。

また、グローバル展開や全国の店舗・支社が関与する企業では、コンテンツの管理と配信ルールが統一されていないことで、ブランドのバラつきや情報の齟齬が起こりやすくなります。これは顧客体験の低下だけでなく、社内の信頼関係や運用効率の低下にも直結する深刻な問題です。

4. DAMとは?──顧客体験を支える“見えないインフラ”

ここまで、マーケティング現場で発生しているコンテンツ管理の課題や、顧客体験の質に与える影響について述べてきました。では、そうした課題をどのように解決すればよいのでしょうか。そこで登場するのが、**「DAM(Digital Asset Management)」**です。



DAMとは何か?単なる“ファイル保管庫”ではない

DAMとは、企業内外で利用されるあらゆるデジタルアセット――たとえば画像、動画、PDF、音声、ロゴ、バナー、商品説明文などを、一元的に保存・整理・検索・共有・配信できるシステムです。一般的なクラウドストレージやフォルダと大きく異なるのは、DAMが単なる保管庫ではなく、Webサイト、SNS投稿、動画広告、アプリコンテンツなどの多様な制作・配信業務に最適化された“ワークフロー機能”を備えている点にあります。誰が、いつ、どのファイルを使い、どのチャネルに展開するかを把握・制御できるだけでなく、承認・バージョン管理・フォーマット変換・権限設定といった“制作から公開までの流れ”そのものを体系的に支援する仕組みが組み込まれているのです。

DAMには、以下のような代表的な機能が搭載されています。

  • メタデータ管理・タグ付け:
    アセットにカテゴリや商品名、地域などの情報を紐づけ検索性を向上。
  • バージョン管理・承認フロー:
    誤使用や情報の齟齬を防ぐための運用機能。
  • フォーマット変換やダウンロード制限:
    必要なサイズや形式への自動変換、使用権限に応じた制限付与。
  • 外部連携・API対応:
    WebCMSやMAツール、ECサイトとの連携でアセット活用を自動化。
つまり、DAMは単なる“デジタル倉庫”ではなく、**「コンテンツのライフサイクルを統合的にマネジメントする基盤」**なのです。


顧客体験の設計にDAMが欠かせない理由

では、なぜDAMが顧客体験の質向上にとって欠かせないのでしょうか? それは、CXが単なる「表現」ではなくなぜなら、体験の質を支えているのは、コンテンツを制作した“後”に、それを迷わず探し出し、正しく使い回し、速やかに配信できる体制があるかどうかにかかっているからです。

たとえば、以下のような状況を考えてみてください。

  • SNS施策で急ぎバナーを出したいが、承認済みのビジュアルが見つからない。
  • Webサイトに掲載した商品画像が旧バージョンのままで、実物と異なっていた。
  • 各チャネルで異なるメッセージが出ており、ブランドの一貫性が損なわれていた。

これらはいずれも、アセットの“整備”や“アクセス性”に問題があるがゆえに起こる現象です。そしてそれらはすべて、顧客の目線から見れば「ブランドの信頼性が低い」「体験がちぐはぐ」と受け取られてしまうのです。DAMを導入すれば、こうしたリスクは大きく減少します。最新版の素材が常に明確になり、使用履歴や更新状況も可視化されることで、スピーディかつ安全にコンテンツを顧客に届けることが可能になります。

さらに、過去のアセットを再活用してパーソナライズ施策に転用したり、A/Bテストに基づく改善が容易になるなど、マーケティングの“運用”を高度化する役割も果たします。

5. 理想の顧客体験を支えるDAM「CIERTO」とは?

ここまで述べてきたように、現代のマーケティングにおいては、ブランドの印象を左右するデジタルアセットの管理体制が、顧客体験の質に直結しています。そして、その運用基盤としていま多くの企業が注目しているのが、**日本の現場感に根ざしたDAMシステム「CIERTO(シエルト)」**です。



マーケティング・販促業務にフィットした設計思想

CIERTOは、広告・販促・Web制作などの現場で日々増え続けるコンテンツの煩雑な管理や制作から配信までの非効率を解決するために設計されたDAMです。特長的なのは、「使いやすさ」と「柔軟なワークフロー設計」を両立している点です。複雑なシステムを導入しても、現場に浸透しなければ意味がありません。CIERTOは、直感的で分かりやすいインターフェースと操作性で誰でも扱いやすく、導入後すぐに効果を実感できる“運用性”の高さが特長です。

また、部署やプロジェクトごとに異なる業務フローに合わせて、承認ステップや共有権限、公開タイミングなどを柔軟に設定可能なため、細かなオペレーションルールを尊重した運用が可能です。


これからのマーケティングを支える“土台”としてのCIERTO

CIERTOを導入することで、以下のような“顧客体験を裏側で支える仕組み”が整います。

  • 最新アセットへの即時アクセスとバージョン管理で、スピーディかつ正確な制作
  • コンテンツとブランドガイドラインを管理し、チャネル間の表現を統一
  • 過去アセットの再利用やパーソナライズにも対応し、コンテンツ活用の高度化
  • 外部パートナーとの安全な共有とログ管理で、運用ガバナンスを強化

こうした環境が整うことで、顧客に届けるすべてのコンテンツにおいて「ブレない体験」が提供できるようになり、結果としてブランド価値の向上、顧客ロイヤルティの強化、施策のROI向上へとつながっていきます。デジタル施策が複雑化し、あらゆる企業が「顧客との接点の質」を競い合う今、必要なのは一時的なキャンペーン強化ではなく、継続的に優れた体験を設計・提供できるための基盤づくりです。

CIERTOは、ただアセットを保管するのではなく、「理想の体験を支える“裏側”の仕組み」をつくるためのDAMです。「このブランドは、常に整っている」「いつも心地よい体験がある」――そんな信頼を築くために、CIERTOがその土台として機能します。

6. まとめ

デジタル時代のマーケティングにおいては、目に見える広告表現やWebページのデザインだけでなく、それを支える“裏側の仕組み”が、顧客体験の質を決定づける時代に入っています。
チャネルが増え、施策が複雑になる今だからこそ、コンテンツ管理の基盤が整っていなければ、どれだけ優れた戦略やクリエイティブも顧客に正しく届かないという現実があります。

その「基盤」として注目されているのが、デジタルアセット管理(DAM)です。中でもCIERTOは、マーケティング現場の課題と向き合い、日本企業のワークフローや文化にフィットする形で設計された実践的なDAMソリューションです。まずは自社のアセット運用の現状を見直すことが、顧客体験向上の第一歩となります。

最終更新日: 2025-06-13 at 11:57
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執筆者情報

ビジュアル・プロセッシング・ジャパン編集部です。マーケティングや商品、コンテンツ管理業務の効率化等について詳しく解説します。

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デジタルアセットマネジメント(DAM)を中核に、多様化するメディア(媒体)・コンテンツの制作・管理・配信環境を支援するITソリューションをご提案しています。