PIMの効果的な運用には、優れたDAMが必須となる理由

CIERTO DAM / PIM
  • データ一元管理

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近年、商品情報管理(PIM)の重要性が高まる中で、商品画像や動画の運用における限界が浮き彫りになっています。特に、ECサイトやグローバル展開を考慮すると、PIM単体では視覚的コンテンツの管理が不十分であり、効果的なマーケティング戦略を実行するためにはデジタルアセット管理(DAM)の導入が不可欠です。
本コラムでは、PIMとDAMの連携が必要となる理由を明確にし、具体的な活用例を紹介します。

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1. PIM運用の限界とDAMの必要性

PIMは商品情報を一元的に整理・配信する強力なツールですが、画像や動画といった視覚的コンテンツに関しては課題を抱えています。具体的には次の2点です。

1.季節やイベントごとの頻繁なコンテンツ更新

消費者の関心を惹きつけるためには、クリスマスやバレンタインなどのイベントやシーズンごとに、商品画像や動画をタイムリーに差し替える必要があります。しかし、PIM単体ではビジュアル管理の仕組みが十分でなく、ファイルのバージョンが乱立したり、差し替え作業が属人的になったりするケースが少なくありません。結果として、最新コンテンツをタイムリーに提供できず、販売機会の損失につながります。

2.グローバル市場への対応

海外展開を行う場合、国や地域ごとに文化や嗜好に合わせた画像・動画を用意しなければなりません。例えば、同じ製品であっても欧米市場ではライフスタイル写真が好まれ、日本市場では機能訴求型の写真が効果的ということもあります。PIMだけではこうした多様なアセットを整理・配信するのが難しく、各国の販売チームや代理店に適切な素材を迅速に提供するためには、DAMとの連携が不可欠です。

2. EC運営におけるコンテンツファースト戦略

EC市場では「コンテンツファースト」が常識になりつつあります。消費者はテキストよりもまず画像や動画から商品を判断するため、いかに魅力的なコンテンツを提供できるかが売上を左右します。

1.PIMとDAMの連携によるコンテンツ制作のワークフロー構築

DAMを導入することで、商品画像・動画の制作、レビュー、承認、管理、配信までの一連の流れを効率化できます。これにより、担当者は必要な素材をすぐに見つけられ、迅速に更新・公開が可能になります。結果として、消費者に対して常に最新で最適化されたコンテンツを提供でき、購入意欲を高められます。

2.デザインの承認プロセスや制作ワークフローの最適化

多くの企業はデザインや動画制作を外注しています。その際に課題となるのが、承認プロセスの煩雑さやコミュニケーションロスです。DAMを活用すれば、制作物を一元的に共有し、承認ステップや修正依頼をプラットフォーム上で管理できます。結果として、社内外のコラボレーションが円滑になり、制作スピードと品質の両立が可能になります。

3. DAMの活用による効果について

商品コンテンツの制作を社内で行う場合はもちろん、外注する場合でもDAMの導入が欠かせません。特に以下の点で、DAMの活用による効果が期待できます。

1.ECプラットフォームへの適応

Amazonや楽天、Instagramなど、プラットフォームごとに画像サイズやファイル形式の要件が異なります。PIM単体ではこうした変換作業を担当者が手作業で行う必要がありますが、DAMなら自動で適切なフォーマットに変換可能です。これにより、時間短縮とヒューマンエラー削減が実現します。

2.ファイルサーバ運用の限界

従来のファイルサーバは、部門ごとにフォルダが乱立し、最新版の画像を探すだけで数十分かかることも珍しくありません。特に外注先とのやり取りが増えると、メール添付やファイル転送サービスが併用され、バージョンの混乱がさらに深刻化します。 DAMは「バージョン履歴管理」「権限設定」「プレビュー機能」を標準装備しているため、最新データを瞬時に確認でき、アクセス範囲も柔軟にコントロール可能です。セキュリティと業務効率の両面でメリットが大きいのです。

4. オムニチャネル戦略におけるDAMの役割

ECサイトだけでなく、紙媒体やSNS配信、実店舗での商品販促も重要な戦略の一環です。これらを統合的に活用する「オムニチャネル戦略」を実現するためには、DAMの構築が不可欠です。

1.マルチチャネル展開の円滑化

消費者はSNSで商品を知り、ECサイトで比較し、実店舗で体験するという購買行動を取ります。この流れの中で、もしチャネルごとに異なる商品画像が使われていたら、ブランドへの信頼は揺らぎます。DAMを活用すれば、チャネルをまたいでも統一感のあるコンテンツ配信が可能になり、「どこで接触しても同じブランド体験」を提供できます。

2.コンテンツ管理の効率化

オムニチャネル展開には「膨大なコンテンツ管理負荷」という課題も伴います。SNS用の短尺動画、紙媒体用の高解像度画像、EC用の商品説明動画など、多種多様なコンテンツを適切に管理する必要があります。DAMはメタデータ管理を通じて、コンテンツを属性ごとに整理できるため、プラットフォーム別の抽出や自動配信がスムーズに行えます。

5. 具体的なDAM活用例

1.ECサイトごとのフォーマット調整・トランスコードの実例

DAMでは、各ECサイトやSNSに合わせて画像・動画を自動変換できます。Amazon用の高解像度JPEG、楽天用の透過PNG、Instagram用の正方形画像、TikTok向けの短尺動画など、手作業では膨大な工数がかかる変換作業を自動化できます。


<画像フォーマットの変換>
  • Amazon:JPEG 画像 1000px以上(RGB)
  • Rakuten:PNG 推奨、背景透過可能(800px以上)
  • Instagram:正方形フォーマット推奨(1080×1080px)

<動画のトランスコード>
  • MP4、WebM、MOV の相互変換
  • SNS向けの短尺動画に変換(TikTok、Instagram Reels)
  • サムネイル生成(動画の冒頭3秒を静止画として抽出)

    DAMでは、これらのプラットフォーム向けに自動変換を行い、画像を適切な解像度・形式にリサイズ・圧縮します。


2.生産性の高いコンテンツ検索

DAMに蓄積された数万点規模のアセットから、欲しい素材を瞬時に検索するには高度なタグ付けが不可欠です。AIによるオブジェクト認識により「赤いスニーカー」「アウトドアシーン」といった自動タグが付与され、SKUコードとの連携でPIM情報から紐付け検索も可能になります。これにより、マーケターやデザイナーは素材探しにかける時間を大幅に削減できます。


<具体的な技術要素>
  • IPTC/XMP メタデータ自動付与(タイトル、著作権情報、撮影者)
  • AIによるオブジェクト認識でタグ付け(例:「赤いスニーカー」「アウトドア向け」)
  • 商品SKUとの紐付け(PIMと連携し、SKU検索で関連画像を抽出)

    これにより、社内のマーケティングチームやEC運営担当者が、必要なコンテンツを素早く検索・活用できます。

3.ワークフロー自動化と承認プロセス管理

DAMにより、デザイナーのアップロードからマーケ担当の承認、フォーマット変換、PIMとの連携までを一気通貫で管理できます。これにより、従来の属人的・手作業ベースの運用から脱却し、よりスピーディーで透明性の高い運用体制を構築できます。。


<承認ワークフロー例>
①.デザイナーが商品画像をDAMにアップロード
   ↓
②.マーケティング担当者がレビューし、修正指示をDAM経由で送信
   ↓
③.承認後、各ECプラットフォーム向けにリサイズ・フォーマット変換
   ↓
④.PIMとDAMが連携し、商品情報と紐付けた状態で配信

この流れをDAMが管理することで、ファイルサーバ運用の課題(バージョン管理の煩雑化など)を解消できます。

6. まとめ

PIMの運用においてDAMとの連携を軽視すると、コンテンツ管理の効率化やマルチチャネル対応に限界が生じ、ECサイトの競争力を低下させる要因となります。
今後のデジタルマーケティング戦略では、DAMの導入を前提としたPIM運用が不可欠であり、これにより商品情報の管理と配信を最適化し、より効果的なブランド展開が可能となるでしょう。
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執筆者情報

ビジュアル・プロセッシング・ジャパン編集部です。マーケティングや商品、コンテンツ管理業務の効率化等について詳しく解説します。

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