コンテンツとは何か？今や企業資産のひとつ

広告やマーケティングの現場において「コンテンツ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、バナー画像や動画広告、SNS投稿、LP、Webページのテキストなどではないでしょうか。かつては印刷物中心だった販促活動も、今やWeb・SNS・メール・動画・ECと多様化し、企業が取り扱うコンテンツは“資産”としての重みを増しています。しかもその量は年々増加しています。たとえば1つのキャンペーンに対しても、複数のサイズ・言語・チャネルごとにクリエイティブを作成する必要があるため、1つの「企画」が10倍、20倍の素材に展開されることも珍しくありません。

このように膨張するコンテンツ資産をいかに「効率的に作成し、適切に管理し、効果的に再利用するか」が、マーケティングの生産性とスピードを左右する時代になっています。

CMS（コンテンツ管理システム）とは？基本的な役割について

CMS（Content Management System）は、その名の通り「コンテンツを管理するためのシステム」です。とくにWebサイトやブログ、ニュースページなど、テキスト中心のWebコンテンツの制作・管理・更新を効率化することを目的としています。 マーケティング部門では、新製品情報や事例記事、キャンペーン告知などの更新頻度が高く、従来のようにHTMLやCSSで手作業更新する体制ではスピードが追いつきません。CMSを導入することで、非エンジニアでも簡単にページを作成・編集でき、SEO対策や公開スケジュール管理なども効率よく実行可能になります。

代表的なCMSには、WordPressやMovableTypeのほか、企業向けのAdobe Experience ManagerやHeartCoreなどがあります。Webマーケティングやオウンドメディア運営の基盤として導入されることが多く、今やマーケターにとっては「必須ツール」と言えるでしょう。

コンテンツ管理とPIM・DAMとの関係性

CMSを導入することで、Webサイトやオウンドメディアの更新は効率化されますが、それだけではマーケティング全体のコンテンツ管理が最適化されるとは限りません。というのも、企業が情報を発信するチャネルは、今やECサイト、アプリ、カタログ、SNSなど多岐にわたっており、そこで使われるコンテンツも、画像や動画、商品情報など多種多様です。

こうした幅広いメディアに対応し、ビジュアル素材や商品データの管理・制作・配信までを含めた全体最適を図るには、CMSだけでは不十分です。ここで必要になるのが、DAM（Digital Asset Management）やPIM（Product Imformation Management）といった、より専門的なコンテンツ管理システムです。

「探せない・再利用できない」現場の非効率

広告・マーケティングの世界では、ターゲットとの接点が従来のテレビや紙媒体から、Web、SNS、YouTube、EC、アプリへと拡大しています。その結果、1つのプロモーション施策に対して必要なコンテンツの“量”と“バリエーション”が飛躍的に増加しました。しかも、企業の成長に伴って多言語・多国展開も一般化し、各チャネル・各国・各媒体ごとに最適化されたコンテンツ制作が求められます。 こうした運用を属人的に、ファイルベースで行っていると、**「誰がどこに何を保存したのか分からない」「どのバージョンが最新なのか判断できない」**といった非効率が日常化します。

また、広告やWebの制作現場では、時間もコストもかけてつくったはずの画像やバナーが、一度使われたきりで再利用されないという状況がよくあります。その理由の多くは「探せない」「最新かどうかわからない」といったものです。共有サーバーやローカルPCに埋もれた過去の素材を発掘する時間が取れない、検索しにくい、誰かが退職してファイルの所在がわからなくなった。こうした“デジタル資産の迷子化”が、クリエイティブの再活用を妨げているのです。このような非効率は、制作コストの増大だけでなく、社内外のやり取りにも影響を及ぼします。たとえば、外部パートナーに同じ素材を何度も送っていたり、古いロゴや写真が誤って使われるリスクも発生します。

マーケティングのスピードとガバナンスの両立が求められる時代へ

広告キャンペーンの反応速度が重視されるいま、「必要なコンテンツを、必要なタイミングで、正しい形で届ける」ことがマーケティングの成否を分けると言っても過言ではありません。一方で、ブランドガイドラインの徹底や法令対応など、ガバナンス強化も不可欠です。コンテンツを一元管理できていないと、勝手に加工してクリエイティブを利用したり、修正前の古いコピーが誤って使用されたりするリスクが増します。だからこそ、コンテンツは、“作って終わり”ではなく、“適切に管理し、再活用する”という意識に変えていくことが重要となります。 その変化を支えるのが、DAM、PIMといったコンテンツ管理系システムの活用です。DAMでは、コンテンツを一元管理し、コンテンツの使用ガイドラインや著作権・肖像権といった許諾情報を管理することが可能です。使用期限が切れているコンテンツに対して、自動的にプレビューやダウンロード制御を行い、コンテンツの不正な流出や誤った使用を未然に防ぎます。PIMでは、常に最新の商品情報（価格・仕様・キャッチコピーなど）を管理し、複数のチャネルに向けて統一した情報配信を可能にします。

CMS（Web管理向け）

CMS（Content Management System）は、Webページやブログ記事、ニュースリリースなどの「テキスト主体のWebコンテンツ」を効率的に作成・管理・公開するシステムです。たとえば、キャンペーンページの公開、製品情報の更新、事例記事の追加などを、HTMLやコードを使わずに操作できるのが最大の利点です。
マーケティング担当者がエンジニアに頼らずに自らWeb施策を展開できるため、スピード感あるPDCA運用が可能になります。

また、CMSはSEO対策やスマホ最適化、公開スケジュール設定、権限管理など、Webサイト運営に必要な機能をオールインワンで提供してくれます。 代表的なツールには WordPress、HubSpot CMS、Adobe Experience Manager などがあります。

DAM（クリエイティブ資産管理）

一方、**DAM（Digital Asset Management）**は、CMSではカバーしきれない「画像」「動画」「バナー」「ロゴ」「カタログPDF」など、クリエイティブ資産の一元管理に特化したシステムです。

マーケティング現場では、一度作ったコンテンツを「探せる」「見つかる」「再利用できる」環境があるかどうかが、制作コストとスピードを左右します。 DAMにコンテンツを登録することで、あらゆるフォーマットのデータもプレビュー付きで管理し、コンテンツの見える化を実現します。さらにAIを活用した自動タグ付けや画像解析を基にした類似画像検索などを活用し、必要なデータを即座に向付けだすことを可能にします。専用の編集ソフトを利用せず、DAMの機能で画像や動画のフォーマット・サイズなどの加工が可能なため、利用目的に合わせた再活用を促進します。これにより、コンテンツの再利用率が大幅に向上し、各種メディアに向けた配信までのスピードアップを図ります。DAMは、Webサイトの裏側というよりも、制作・運用チームの“制作工程と資産活用”を支えるインフラです。

PIM（商品情報管理）にも注目

あわせて注目されているのが、**PIM（Product Information Management）**です。 これは、商品名、SKU、スペック、価格、説明文、画像など、EC・販促に必要な商品情報を一元管理するためのシステムです。 特に商品点数が多い企業、複数のチャネルを利用している企業、更新頻度が高い業態において、PIMは効率化の鍵となります。特長としては、基幹システムで管理されている情報だけではなく、PIMでは各種チャネルで必要となる販促情報も管理できるという点です。たとえば、基幹システムにはないキャッチコピー、セールスコピー、写真、動画など販売促進に繋がる情報も含めて、一元管理することが可能です。そのため、自社のECサイトや各種ECモール、製品サイト、LP、カタログ、アプリなどあらゆるチャネルに対して正しい商品情報を統一して配信することが可能となります。

CMSとDAM、PIMの使い分けと連携が重要

このように、CMSだけで完結する企業もありますが、コンテンツの種類・量・展開先が増えるほど、DAMやPIMとの組み合わせが必須になります。

市場にはさまざまなコンテンツ管理系システムが存在していますが、目的や得意分野はそれぞれ異なります。
ここでは、CMS・DAM・PIMの代表的な製品をピックアップし、機能・特徴・向いている企業をまとめた比較表をご紹介します。

主要システムの比較一覧

各ツールの簡潔な紹介と活用イメージ

■WordPress（CMS）

オウンドメディアや中小規模の企業サイト運用に強く、豊富なテーマ・プラグインで拡張も自在。自由度と導入のしやすさを重視する企業に最適です。SEO・記事運用の起点として活用されています。

■Adobe Experience Manager（CMS）

大規模なWebサイト群の一元運用、複雑なパーソナライズ、分析との連携に対応。マーケティング戦略とデジタル体験の統合を図るエンタープライズ向けのCMSです。導入・運用には技術力と予算が必要。

■CIERTO（DAM＋PIM）

VPJが提供する国産の統合型システム。商品情報（PIM）と画像・動画・PDF（DAM）を一つのシステムで管理できるのが特徴で、EC運営や販促制作の現場で高評価。素材の共有、バージョン管理、申請フロー、ECパッケージ/CMS連携など幅広い運用をサポート。

■Bynder（DAM）

ブランディング資産を統合管理できるクラウド型DAM。グローバルなUI設計で、多拠点間のビジュアル素材管理や、制作チームとの協業に強みを持ちます。Adobe系ツールとの連携も豊富。

Contentserv（PIM）

多品種・多チャネルにわたる商品情報の一元管理と配信に特化し、柔軟性が高いPIM機能を提供。DAMやECとの連携で、構造化された商品情報とビジュアルのセット管理が可能に。

CMS（コンテンツ管理システム）は、Webページや記事などのテキスト系コンテンツを管理・運用する上で非常に有効なツールです。しかし、CMSだけでは“管理しきれないコンテンツ”が、今のマーケティング現場にはあふれています。

CMSを導入したあとに見えてくる課題とは？

CMSを導入することで、自社のWebサイトやオウンドメディアの更新作業がスムーズになり、情報発信のスピードは格段に向上します。しかし、それだけで“コンテンツ管理”が万全かといえば、実はそうではありません。企業がマーケティング活動の中で活用するメディアは、もはやWebサイトだけにとどまらず、ECサイト、スマートフォンアプリ、デジタルカタログ、SNS、販促用のPDF資料など多岐にわたります。

それぞれのチャネルで求められるコンテンツは、形式も表現も異なり、それらを適切なタイミングで最適な形に整えて届けるには、高度な「制作・管理・配信」の体制が必要です。CMSはあくまでWebページの運用に特化したツールであり、画像や動画、製品写真、ロゴ、販促用バナーなどのビジュアル素材を一元的かつ横断的に扱うためには、別の仕組みが求められます。

このようなニーズに応える存在として注目されているのが、DAM（Digital Asset Management）です。DAMは、CMSの管理対象外となりがちな“ビジュアル系コンテンツ”の収集・整理・検索・共有を可能にし、複数のチャネルや関係者にまたがるコンテンツ活用を効率化します。つまり、CMSを導入した先に見えてくる次の課題——チャネル横断的なコンテンツ活用の最適化——を解決するのがDAMなのです。Webコンテンツの発信体制を整えた企業ほど、「CMSだけでは足りない」という実感に早くたどり着きます。マーケティングの成果を高めるには、CMSとDAMを組み合わせて、テキストとビジュアル、制作と流通の両面からコンテンツをマネジメントしていく視点が欠かせません。

「作るコスト」から「活かす価値」へ

広告や販促の現場では、日々さまざまなコンテンツが企画・制作されています。キャンペーン用のビジュアル、動画広告、SNSバナー、販促用のPDF、プレゼン資料……これらはすべて、多くの時間とコストを投入してつくられた“資産”です。しかし現実には、一度きりで終わってしまうコンテンツが多いのが現実です。ファイルがどこにあるか分からない、最新のものが分からない、誰に聞けば良いか分からない――こうした理由で、せっかくの素材が再利用されることなく埋もれてしまうのです。

本来、コンテンツは「作って終わり」ではなく、必要なタイミングで、必要な人が、すぐに活用できてこそ価値を持つ資産です。たとえば、過去に制作したバナーを少し加工して別チャネルに展開する、動画の一部を切り出してSNS用の短尺コンテンツにする、複数の既存素材を組み合わせて新たな販促資料をつくる――こうした**“二次利用”や“再構成”が自由にできる環境こそが、マーケティングにおける真の生産性**を高めます。

その仕組みを支えるのが、DAM（デジタルアセット管理）です。DAMは、制作したコンテンツを整理・分類し、誰でも素早く検索・活用できる状態に整えることで、「作る」から「活かす」への転換を可能にします。制作物は、単なる“成果物”ではなく、戦略的に再利用されるべき“資産”です。コンテンツを資産として最大限に活かす視点が、これからのマーケティング組織には欠かせません。

CMS＋DAMの併用で、マーケティングはもっと強くなる

CMSとDAMは、役割が異なるとはいえ、決して別々のシステムとして独立して使うものではありません。むしろ、両者を組み合わせて活用することで、マーケティング業務全体のスピードと精度、再現性が大きく向上します。

たとえば、CMSを使ってキャンペーンページを作成する際、画像や動画などのビジュアル素材はDAMに保管されており、そこから最新版の素材を素早く検索・選定・差し替えできます。
これにより、「誰かのローカルPCに素材がある」「社内チャットでファイルをもらう」といった非効率なやりとりがなくなり、Web制作の初動が飛躍的に早くなります。

また、過去に使用したバナー素材やキャンペーン画像もDAM上でタグ付け・分類されていれば、再利用や横展開が容易です。特にSNS投稿やメールマーケティングなど、スピード勝負の施策では、「すぐに素材が取り出せる」ことが、PDCAサイクルの加速に直結します。さらに、CMSとDAMをAPIやプラグインで連携させることで、Webコンテンツの中に使われている画像のバージョンを自動で管理したり、公開後のファイル更新を一括で行ったりと、“人が手作業で更新する負担”を限りなく減らすことができます。

コンテンツ管理を取り巻く環境は、もはやWebサイト運用だけにとどまらず、EC・アプリ・カタログ・動画・SNSなど、あらゆるチャネルと形式に広がり続けています。
こうした多様なメディアに一貫性を持たせ、迅速かつ正確に発信するためには、CMSだけでなく、DAMやPIMといった専門システムを組み合わせた全体最適化の視点が欠かせません。

CMSは情報発信を支える基盤であり、DAMはビジュアル資産の運用を、PIMは商品情報の整合性をそれぞれ強力にサポートします。
これらを連携・統合することで、マーケティングはより戦略的に、そして生産的に進化していきます。

VPJが提案するCIERTOは、DAMとPIMを兼ね備え、CMSとのシームレスな連携を実現するデジタルマーケティング支援のDXソリューションです。
WordPressやHeartCoreといった主要CMSとの連携実績もあり、Web運用チーム、販促部門、EC担当者それぞれの課題に寄り添った柔軟な設計が特長です。「ファイルが見つからない」「商品情報の更新に手間がかかる」「ブランド管理が現場任せ」――そんな課題を感じたら、まずはCIERTOの活用をご検討ください。

CIERTOの詳しい紹介は、CIERTOの製品紹介サイトもしくは、以下の資料ダウンロードよりご確認ください。