大学広報の新常識:研究成果や広報素材を安全に活用するためのDAM戦略

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大学・研究機関では、講義動画、研究成果物、広報写真、プレス用素材など、日々扱うデジタル資産が急速に増え続けています。オンライン授業の定着や広報活動の多様化により、学内外で共有される素材はこれまで以上に複雑化し、管理コストも膨らんできました。

さらに、著作権や肖像権といったリスク管理の強化が求められている今、素材を「探せる・使える・共有できる」状態に保つことは大学にとって重要な課題です。適切な管理が行われなければ、研究成果の発信機会を逃したり、広報活動でブランドイメージが統一されないといった問題が起こりかねません。

こうした背景から注目されているのが、DAM(デジタルアセット管理)を軸としたデジタル資産管理の仕組み化です。本記事では、大学が抱える課題と、DAMがどのように広報活動・研究支援・組織ブランディングを強化するのかを分かりやすく解説します。

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1. 大学でデジタル資産が急増している背景

大学・研究機関では、近年のデジタルトランスフォーメーションの流れを背景に、扱うコンテンツの種類と量が飛躍的に増えています。特に、オンライン授業の普及により講義動画が大量に保存されるようになったこと、研究室ごとに成果物がストックされること、広報部門がSNSや動画メディア向けに素材を制作するケースが増えたことが大きな要因となっています。

また、広報活動は従来のWebやパンフレットに加え、SNS、動画配信、オープンキャンパス用コンテンツなど多様化し、必要となる素材の幅も広がりました。これにより、写真・映像・ポスター・プレス資料といったデータが学内のあちこちに散在し、必要なときに見つからないという問題が生じています。

さらに、研究活動のグローバル化により、共同研究先や学外機関へ成果物を共有する機会も増えています。外部との連携が増えるほど、素材の著作権・利用範囲・公開可否などのルールを明確に管理する必要性が高まります。しかし多くの大学では、これらが担当者の記憶やローカル管理に依存しているため、更新漏れや誤用のリスクがつきまといます。

このように、素材の多様化・制作量の増加・共有範囲の拡大が進む大学では、従来のフォルダ管理や個別対応だけでは限界が見え始めています。デジタル資産を安全に、かつ効率的に活用するための基盤づくりが欠かせない時代になっているのです。

2. 大学が抱える5つのデジタル資産管理課題

デジタル化が進む大学では、学内に蓄積される素材が急速に増える一方、管理の仕組みが追いついていないケースが多くあります。ここでは、多くの大学に共通する5つの課題を明らかにします。

2-1. 研究成果物が学内に散在し、必要なときに見つからない

研究室ごとに管理方法が異なり、論文、ポスター、発表資料、研究データといった成果物が学内のサーバーや個別フォルダ、個人PCに点在しているケースが多く見られます。
素材が統一されていないため、プロジェクトメンバーであっても「どれが最新なのか」「どこに保存されているのか」が分からず、成果発信のスピードが落ちる要因となっています。
場合によっては、外部からの掲載依頼にすぐ対応できず、研究の露出機会を逃すこともあります。

2-2. 広報素材や撮影データが散らばり、再利用できない

大学広報では、SNS投稿、Webサイト、パンフレット、動画など、多様な媒体で素材を活用します。しかし、撮影データや広報写真が保持者によって個別管理されていると、過去の良質な素材が発掘されずに埋もれてしまうという問題が発生します。
本来、再利用できる素材が使われないまま新たに撮影を行ったり、同じ素材を別部門が重複して管理したりするなど、コスト面でも非効率です。

2-3. 著作権・肖像権の管理が属人的でリスクが高い

大学の素材には、学生・教員の肖像、研究データ、外部機関との共著内容など、権利関係が複雑なものが多く含まれています。
しかし、「利用許諾を得たか」「どの範囲で使えるか」「期限はあるか」といった情報が担当者の記憶やメールのやり取りに依存していると、誤用や無断利用につながるリスクがあります。
特にSNSやメディア露出が増えた今、ガバナンス強化は大学が避けられないテーマです。

2-4. 外部共有のたびに確認作業が発生し、業務負荷が増える

研究機関・メディア・企業との連携が増えるにつれ、成果物や広報素材を外部へ共有する機会も増加しています。しかし、素材が一元化されていない環境では、外部先に送る前に
「この素材は共有していい?」「バージョンは最新?」「著作権は問題ない?」
といった確認が毎回必要になり、担当者の負荷が大きくなる傾向があります。半ば“暗黙知”として蓄積されていたルールが外部共有を難しくするケースも少なくありません。

2-5. 大学としてのブランド統一が保てない

大学ブランディングが重要視されるなか、ロゴ・カラー・撮影トーン・メッセージなどを統一して発信する必要があります。しかし、学部・研究室・部署ごとに素材管理がバラバラだと、広報物やSNSの表現が一致せず、大学全体としてのイメージが揺らぐことがあります。
対外発信が増えれば増えるほど、ブランド一貫性を維持するためのガバナンスが重要になります。 大学が抱える課題の多くは、素材や情報が部門ごとに分断されていることが原因です。
適切な仕組みがないまま量だけが増え続ければ、「発信スピードの低下」「誤用リスクの増大」「ブランディングの不統一」といった問題が積み重なり、大学全体の価値発信に影響してしまいます。

次の章では、これらの課題をDAM(デジタルアセット管理) がどのように解決するのかを具体的に解説します。

3. DAMが大学にもたらす5つの効果

DAM(デジタルアセット管理)は、広報素材・研究成果・講義動画といった大学特有のデジタル資産を“整理・保管・共有”するための基盤です。分散した素材を一元化することで、大学全体の発信力とガバナンスを大幅に向上させます。ここでは、大学がDAMを導入することで得られる主な効果を紹介します。

3-1. デジタル資産を一元管理し、必要な素材をすぐに見つけられる

DAMでは、画像、動画、資料、論文、パンフレットなど、さまざまな種類のデジタル資産をひとつの基盤に整理できます。
学部・研究室・部署ごとにバラバラに保存されていた素材が統合されることで、「どこに何があるか分からない」「最新版がどれか分からない」といった問題が解消されます。
これにより検索性が高まることで、広報活動や研究発信のスピードが向上します。

3-2. 権限管理により、著作権・肖像権のリスクを軽減

DAMでは、素材ごとに利用範囲や公開可否、使用期限、権利情報を設定できます。
これにより、学生・教員の写真、研究データ、外部提供素材など、権利関係が複雑なデータも適切なルールに沿って運用できます。
誤用や不適切な公開を防ぎ、大学にとって重要なリスクである著作権・肖像権の管理が強化されます。

3-3. 素材の“再利用性”が高まり、広報活動の効率が向上する

過去の撮影素材やイベント写真、講義動画などがDAMで整理されると、必要なときにすぐ活用できます。
これにより、「既存素材の再活用が増える」「新規撮影の頻度が減る」「広報担当者の作業負荷が軽減される」といった効果が期待できます。
大学の広報活動は媒体が多岐にわたるため、素材の再利用性向上は直接的な効率化につながります。

3-4. 学内外への共有がスムーズになり、業務負荷が減少する

研究機関、メディア、自治体、企業など外部との連携が進む大学では、素材共有の機会が多く発生します。
DAMを活用すれば、閲覧権限を設定した上で必要な素材を共有できるため、メールでの受け渡しや確認のやり取りが減り、安全かつ効率的な共有が可能になります。
内部向けにも、他学部・研究室との連携がスムーズになり、素材の重複管理や依頼作業が減少します。

3-5. 完成物の統一性を維持し、大学ブランドの価値を高める

DAMには、ロゴデータ、デザインテンプレート、ガイドラインなど、ブランド関連の素材も集約できます。
これにより、学部・部署ごとに作られる広報物の品質やトーンを揃え、大学全体としてのブランドイメージの統一が実現します。
統一された発信は、受験生・保護者・企業・研究機関など学外のステークホルダーに対し、大学としての信頼性を高める効果があります。

4. 大学におけるDAMの具体的活用シーン

DAMは「素材の保管庫」にとどまらず、大学の広報活動・研究支援・学内連携を支える実務的な基盤として機能します。ここでは、日常的に発生する大学の業務シーンをもとに、DAMがどのように活用されるのかを具体的に紹介します。

4-1. 研究成果のストックと学外機関への安全な共有

共同研究先やメディア、他大学との連携が増える中、研究成果物の保管と共有は大学にとって重要な業務です。
DAMでは、論文データ、発表資料、ポスター、実験画像などを体系的に整理し、権限設定によって安全に共有できます。
これにより、「必要な成果をすぐに提供できる」「不用意なデータ流出を防げる」という、研究推進とガバナンスの両面でメリットが生まれます。

4-2. 大学公式SNS・Webサイトへの素材提供が効率化

広報部門は、学部紹介、学生インタビュー、イベント告知、研究紹介など、多種多様なコンテンツを発信します。
DAMに素材を集約することで、SNS担当者やWeb担当者は必要な写真・動画をすぐに検索して利用でき、学内の確認依頼や素材探しに費やす時間が大幅に削減されます。
情報発信のスピードが向上することで、大学ブランドの露出機会を逃さず、メディアとの連携も円滑になります。

4-3. オープンキャンパスや入試広報での素材準備を省力化

オープンキャンパスや入試広報では、ポスター、パンフレット、動画、ブース展示資料など、多数の素材が必要です。
DAMで過去資料やテンプレートを管理しておけば、担当者は必要な素材を効率よく準備でき、部署をまたいだ情報共有ミスや重複制作を防止できます。
特に複数学部が協力するイベントでは、統一された表現で資料を揃えられる点が大きなメリットです。

4-4. 講義動画・講演映像のアーカイブ構築が可能に

オンライン授業や特別講演の増加により、講義動画は大学の重要なデジタル資産になっています。
DAMを活用すれば、動画ファイルの管理、サムネイル表示、メタデータ付与、利用期限の設定などが行え、学生向けポータルや外部公開サイトへの展開がスムーズになります。
教育資源としての再利用性が高まり、大学全体のナレッジ蓄積にも寄与します。

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5. CIERTOが提供する大学向けDAMソリューション

VPJが提供するCIERTO(シェルト)は、大学・研究機関ならではの素材管理課題に対応した DAM(デジタルアセット管理)ソリューションです。広報部門から研究室、情報システム部門に至るまで、学内のさまざまな部署が扱うデジタル資産を安全に管理し、再利用しやすい環境を構築します。

5-1. 権限管理で著作権・肖像権を安全にコントロール

CIERTOでは、素材ごとに「利用可能範囲」「公開可否」「期限」などの権利情報を設定できます。
学生・教員の肖像、共同研究データ、外部提供素材など、権利関係が複雑な大学の素材でも、誤用や無断公開を防ぐための仕組みが標準で用意されています。
研究室や広報部など、部署ごとに細かい利用権限を設定できるため、安心して学内外へ素材を展開できます。

5-2. プレビューとメタデータ管理で、素材の内容をすぐに把握できる

画像・動画・音声・PDFなど、大学で扱う多様な形式のファイルをブラウザ上でプレビューできるため、ダウンロードする前に内容を確認できます。 また、研究ジャンル、学部名、撮影日、著作権情報などをメタデータとして紐づけることで、「探しやすく、意味のある」アーカイブ構築が可能になります。
学内の誰が見ても検索しやすく、取り出したい素材にたどり着きやすい環境になります。

5-3. 学部・研究室・広報部など、大学の組織に合わせた柔軟な運用が可能

大学は部門構成イベント記録、研究の歴史資料など、長期的な価値をもつ素材を安全に保存し、必要なときにすぐ取り出せる環境を作ります。
大学全体の“知の資産”が複雑で、扱う素材の種類も多岐にわたります。CIERTOは階層構造の管理やグループ設定が柔軟で、「学部ごとの素材領域」、「研究プロジェクト単位のワークスペース」、「広報部全体の共有領域」 など、大学の組織構造に寄り添った運用が可能です。
各部署がバラバラに管理していた素材を、統一ルールのもとで整理できるようになります。

5-4. デジタルアーカイブとして活用でき、教育資源の価値を高める

CIERTOは動画や静止画の長期保存にも対応しており、講義動画・講演映像・研究記録などの教育資源を大学独自のデジタルアーカイブとして蓄積できます。 卒業生向け動画、記念を守り、後世に残す基盤にもなり得ます。

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6. まとめ ― 大学のデジタル資産は“守りながら活かす”時代へ

大学では、講義動画、研究成果物、広報素材など、日々生み出されるデジタル資産が増え続けています。その一つひとつは、教育・研究・広報活動を支える貴重な財産ですが、管理の仕組みが整っていなければ活用の幅が狭まり、リスクも大きくなります。

これからの大学に求められるのは、データをただ蓄積するのではなく、「安全に管理しながら、必要なときに活用できる状態に整えておくこと」です。適切な権限管理や検索性の高いアーカイブが整っていれば、研究発信のスピードは上がり、広報活動の質も向上し、大学全体のブランド価値にもつながります。

DAMは、その基盤となる仕組みとして、学内の分断を解消し、デジタル資産を“使える資産”へと変える役割を担います。大学の発信力を高め、安全で持続的なデータ運用を実現するためには、いまや欠かせない存在と言えるでしょう。

VPJが提供するCIERTOは、大学組織の特性に合わせたDAMソリューションとして、広報・研究・教育のあらゆる場面でデジタル資産を守り、活かすための土台を提供します。

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執筆者情報

ビジュアル・プロセッシング・ジャパン編集部です。マーケティングや商品、コンテンツ管理業務の効率化等について詳しく解説します。

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