COLUMN

CIERTO

建設業界DX!建設業界の課題を解決し、業務効率化を実現するDXとは?

アイキャッチ画像

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)は多くの業界で注目を集めています。その中でも、建設業界は特にDXの恩恵を受けるべき分野の一つです。従来のアナログな方法や手作業が多く残る建設業界では、生産性の向上や業務効率化が急務となっています。建設プロジェクトは多岐にわたる業務が絡み合い、情報共有や意思決定の遅れが大きな問題となることが少なくありません。これらの課題を解決するために、最新のITツールの導入が求められています。この記事では、建設業界のDXに焦点を当て、その意義や現状の課題、DXがもたらすメリットについて詳しく解説します。

CIERTOバナー

1.建設業界における課題

建設業界における生産性低下の要因として、情報共有、プロジェクト管理、意思決定における課題が挙げられます。以下、それぞれの問題点を詳しく見ていきます。

1.1 情報共有面での課題

建設プロジェクトは多くの関係者が関与するため、情報共有の重要性は非常に高いです。しかし、現状では全体像の共有が困難で、設計士、施工者、発注者などが同じ情報を共有できていない場合があります。これにより、認識のズレや作業の重複、ミスが生じるリスクが高まります。また、紙ベースの報告や表計算ソフトを介した情報共有が一般的で、データの入力や集計、活用に時間がかかり、効率化が難しい状況です。さらに、紙ベースの情報管理では更新情報の共有が遅れ、最新情報を持たないまま作業が進行し、誤った判断を招く可能性があります。これらの情報共有面での課題は、建設業界の生産性低下に直接影響を与えています。

1.2 プロジェクト管理面での課題

プロジェクト管理も生産性に大きな影響を及ぼす要素です。まず、進行中のプロジェクト全体の進捗を正確に把握することが困難です。従来の手法では現場の状況を直接確認し、それを基に進捗を更新するため、リアルタイムな確認が難しいという問題があります。次に、予算管理においても課題があり、プロジェクトの初期段階で詳細な予算を立てても、実際の作業が進むにつれて予算から乖離するコストが発生しやすいです。これにより、コストオーバーやスケジュール遅延が発生する可能性があります。さらに、人員管理においても、多数の作業員が同時に作業を進めるため、配分や能力管理が複雑となり、配置ミスや能力不足が工期や品質に影響を及ぼすことがあります。

1.3 意思決定面での課題

建設業界における意思決定もまた、生産性に大きく影響を与える要素です。まず、情報不足による誤った意思決定が問題となります。現場の状況や進捗、コスト情報などを正確に把握することが困難であり、これが意思決定の精度を低下させる可能性があります。また、多くの関係者が存在するため、意思決定に時間がかかり、プロジェクト全体の進行を遅らせることがあります。さらに、意思決定過程の透明性が欠如していると、関係者間の信頼を損ね、コミュニケーションが妨げられます。特に法規制や安全要件が厳しい建設業界では、意思決定の根拠とプロセスを明確にすることが求められます。

1.4 人材不足による課題

建設業界では長年にわたり慢性的な人材不足が続いており、これが生産性低下の一因となっています。特に熟練技術者の高齢化が進み、若手人材の確保が難航している状況です。このような環境下では、現場のノウハウが特定のベテラン社員に集中しやすくなり、業務が属人化する傾向にあります。結果として、業務の標準化や効率化が進まず、トラブル対応や引き継ぎ時に混乱が生じるケースが少なくありません。

また、人員の余裕がないために、日々発生する図面・写真・報告書といった多様な情報の整理や共有が後回しにされがちです。これにより、必要な情報がすぐに見つからない、古いデータを元に作業を進めてしまうなどの非効率な業務運用が常態化してしまいます。

これらの課題を解決するためには、情報共有やプロジェクト管理の効率化、意思決定の透明性向上が不可欠です。次章では、これらの課題を解決するための具体的なITソリューションについて詳しく説明します。

2.建設業界におけるDXの必要性

建設業界では、労働人口の減少や工期の短縮、品質向上への要請など、これまで以上に業務の効率化と情報共有の高度化が求められています。これらの課題に対応するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が急務となっています。

2.1 情報共有のスピード向上

設計データ、施工写真、進捗レポートなど、多種多様な情報をリアルタイムで関係者と共有することで、意思決定の迅速化が図れます。紙ベースの業務では困難だった情報の即時反映が可能になり、トラブル対応や工程調整の柔軟性が飛躍的に向上します。

2.2 品質と安全性の向上

DXにより、過去の施工実績データや検査記録、トラブル履歴などを体系的に蓄積・分析できるようになります。これにより、施工精度の向上や事故防止に役立つナレッジが活用でき、品質と安全性の担保につながります。

2.3 経営判断の高度化

蓄積されたデジタルデータは、経営戦略の意思決定材料としても有効です。案件ごとの収支や生産性、現場ごとの傾向分析を通じて、より正確でスピーディな経営判断が可能になります。

3.DX推進の障壁と解決策

建設業界における DX(デジタルトランスフォーメーション)が急務である一方、DXの推進においては様々な障壁があります。その主なものは、伝統的な業務フローへの固定観念、人材不足、そして技術的なハードルといった要素です。特に、建設業界は長年にわたって独自の業務プロセスや専門的な技術スキルを維持してきたため、新たな技術を導入することには抵抗感を感じる場合が多いと言えます。また、ITスキルを持つ人材の不足は、新しいソリューションを適切に導入し操作する能力を欠くことにつながります。さらに、一部の建設会社では、具体的な投資効果が見えにくい、システム導入後の運用に不安があるといった理由からIT投資を控える傾向にあります。これはDX推進の重要な障壁であり、解消が必須となります。

では、どのような解決策があるのでしょうか。

まずは、トップダウンでの意識改革が求められます。組織のマネジメント層がDXの必要性を理解し、その理念を社内全体に浸透させることが重要です。それにより、従業員も新たな取り組みに対する理解と同意を示しやすくなります。また、外部の専門家やITコンサルタントと連携し、新たなシステム導入に際して支援を受ける手段も効果的です。専門家の知識と経験を活用することで、成功するDXを行うことが可能となります。労働力不足の問題に対しては、外部のチームを活用するアウトソーシングや、RPA(Robotic Process Automation)のような自動化技術による効率化により、労働力の不足を補うことが可能です。最後に、建設業界向けの専門的なITソリューションを活用することによって、個々の業務プロセスを効率化するだけでなく、見えにくい投資効果を具体的に示すことが可能になります。これにより、現場から管理レベルまでの全員がDXの利点を理解し、実践する意欲を高めることができます。

結論として、建設業界におけるDX推進の障壁は大きなものではありますが、それを克服するための明確な解決策も存在します。この機会を活かして、業界全体がDXを推進し、効率と生産性の向上を図るべきと言えるでしょう。

4.建設業で用いられているITソリューション

ここでは、建設業界におけるDXとして注目度の高い、3つのITソリューションを紹介していきます。 現状の業務プロセスを改善し、生産性向上・品質向上・コスト削減を実現するソリューションです。

4.1 BIM導入による業務改善

BIM(Building Information Modeling)は、建設プロジェクトの設計から施工、維持管理に至るまでのライフサイクル全体を3Dモデルを用いてデジタルで管理する技術です。BIMの導入により、設計段階での建物の可視化が容易になり、設計ミスの早期発見や修正が可能となります。これにより、設計変更に伴うコストや時間の削減が期待できます。さらに、BIMを用いることで、異なる専門分野の協力が円滑になり、コミュニケーションの改善が図れます。例えば、建築家、エンジニア、施工業者が一つのプラットフォーム上で協力することで、プロジェクト全体の整合性を保ちつつ、効率的な業務運営が実現します。また、BIMは施工フェーズでも役立ち、施工シミュレーションや進捗管理を通じて、施工の最適化が図れます。さらに、維持管理フェーズにおいても、BIMモデルを活用することで、建物の状態を正確に把握し、効果的なメンテナンス計画を立てることが可能となります。これらのメリットにより、BIMは建設業界の生産性向上に大きく寄与します。

4.2 施工管理システム導入による業務改善

施工管理システムの導入は、建設プロジェクトの全体的な効率を向上させるための鍵となります。施工管理システムは、プロジェクトの進捗状況、予算管理、リソースの配分などを一元管理するためのツールです。このシステムを導入することで、リアルタイムでのデータ共有が可能となり、プロジェクト全体の透明性が向上します。例えば、プロジェクトマネージャーは現場の進捗をリアルタイムで把握し、必要な調整を迅速に行うことができます。また、施工管理システムは、タスクの優先順位付けやリソースの最適化をサポートし、プロジェクトの遅延を防ぐ役割を果たします。さらに、クラウドベースの施工管理システムを使用することで、現場とオフィス間の円滑なコミュニケーションが可能となり、リモートワークの推進にも貢献します。これにより、現場の状況を的確に反映した意思決定が行われ、全体の業務効率が大幅に向上します。また、システム上でのドキュメント管理により、情報の整理や検索が容易になり、必要なデータに迅速にアクセスできるようになります。施工管理システムは、建設プロジェクトの品質向上とコスト削減に大きく貢献します。

4.3 DAMシステム導入による業務改善

デジタルアセット管理(DAM: Digital Asset Management)システムは、建設業界におけるデジタルコンテンツの効率的な管理を可能にします。建設プロジェクトでは、多くの設計図、写真、ビデオなどのデジタルコンテンツが生成されますが、これらを一元管理することは容易ではありません。DAMシステムを導入することで、全てのデジタルコンテンツを一元的に管理し、必要な情報に迅速にアクセスできるようになります。例えば、設計図や写真などのファイルを一箇所に集約することで、プロジェクトチーム全員が最新の情報にアクセスしやすくなり、情報共有のスピードが向上します。また、DAMシステムは、バージョン管理やアクセス権の設定が可能であり、情報の正確性とセキュリティを確保します。これにより、デジタルコンテンツの誤使用や漏洩を防ぐことができます。さらに、DAMシステムは、メタデータの活用により、コンテンツの検索性を向上させるため、必要な情報を素早く見つけることができます。これにより、プロジェクトの品質向上やコスト削減が実現し、全体の業務効率が向上します。DAMシステムの導入は、建設業界におけるデジタルコンテンツ管理の最適化に大きく貢献します。

5.まずはDAMの導入による業務改善から

DAMが建設DXに効果的な理由

建設業界でDXを推進する第一歩として、**DAM(デジタルアセット管理)**の導入は非常に効果的です。その理由は以下の3点に集約されます。

  1. 膨大なファイルの一元管理で業務効率化

    建設現場では、図面、写真、施工動画、報告書など多種多様なデジタルファイルが日々生成されます。これらを散在させたままでは必要な情報へのアクセスが困難になり、業務の遅延やミスの原因になります。DAMを導入することで、全てのデジタルデータを体系的に整理・分類し、誰でもすぐに必要な情報へアクセスできる体制を実現します。

  2. 関係者間のスムーズな連携

    DAMは社内だけでなく、協力会社やクライアントともセキュアな情報共有を可能にします。メール添付による煩雑なやり取りを排除し、常に最新版のデータにアクセスできることで、ミスコミュニケーションの削減にもつながります。

  3. 人的リソースが限られていても運用可能

    特別なITスキルを必要とせず、現場担当者や管理部門でも直感的に操作できるUI設計が多いため、人的リソースが限られている中小規模の建設会社でも導入・運用しやすいのが特長です。


DAMの導入による改善事例~大成建設株式会社様~

当社では、DAMシステム「CIERTO(シエルト)」を提供しております。ここでは、CIERTOの導入により、全国拠点とのナレッジシェア及びデジタル資産の活用促進に成功してる活用事例として大成建設株式会社様の事例を紹介します。

<DAMシステム導入前の課題>
・プロジェクトデータや画像、各種情報などの様々なデータを個人が保管していたり、プロジェクトメンバーのみの閲覧に限定されているフォルダで管理していたりと、データが点在し社員間での情報共有が図れていない。
・必要なデータを探す時には保存場所を関係者に問い合わせる手間や、必要な情報が見つからずゼロから資料を再作成するなど無駄な工数が発生する。
・WEBサイトや書籍、提案書などに掲載されている綺麗な竣工写真を二次利用する際、関係者に使用許可を都度確認する必要があり、多くの手間が発生する。

<DAMシステム導入後の改善>
・竣工図や竣工写真、研修動画、提案書、検討書、仕様書、パンフレットなどのデータを一元管理を実現し、全国拠点にいる設計本部の社員全体の業務効率アップを実現。
・設計者は、建設現場・社内外客先会議・リモート業務と場所を問わずipadからプロジェクト情報にアクセスできることで、理想的なナレッジシェア環境を構築。
・二次利用をする際の使用ルールを各コンテンツごとに登録できるため、都度の確認作業が不要となり、工数の削減に成功。

大成建設株式会社様のDAMシステム活用事例の詳細については、こちらのページ(大成建設様 CIERTO活用事例)で紹介しております。是非参考にしてみて下さい。また、大成建設株式会社様が導入しているDAMシステム「CIERTO」の詳細については、製品サイトを参考にしてください。

図版

6.おわりに

DXの導入は、建設業界に多くの変革をもたらします。デジタル技術を活用することで、情報のリアルタイム共有やデータ解析が進み、プロジェクトの効率化が実現します。また、AIやIoTを駆使することで、予測分析や自動化が進み、業務効率が向上します。さらに、リモートワークの導入により、労働力不足の問題にも対応でき、競争力の強化が期待されます。DX化が進むことで、建設業界はより持続可能で効率的な未来へと進化していくことでしょう。
最終更新日: 2025-04-18 at 17:30
関連製品の詳細はこちら

執筆者情報

ビジュアル・プロセッシング・ジャパン編集部です。マーケティングや商品、コンテンツ管理業務の効率化等について詳しく解説します。

【株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパン について】
デジタルアセットマネジメント(DAM)を中核に、多様化するメディア(媒体)・コンテンツの制作・管理・配信環境を支援するITソリューションをご提案しています。