1-1 動画の重要性と課題

動画コンテンツは、マーケティング活動の一環として多くの企業で利用されています。例えば、製品のプロモーションビデオ、カスタマーサポートのチュートリアル動画、社内トレーニングビデオなど、多岐にわたります。これらの動画コンテンツは、企業のブランディングや顧客体験の向上に寄与します。しかし、膨大な量の動画を効果的に管理し、必要な動画を迅速に検索することは容易ではありません。適切な検索機能がなければ、必要な動画を見つけるために多くの時間と労力を費やすことになり、業務効率が低下します。

動画検索の主な課題は以下の通りです：

• データの分散管理：
  

  企業が撮影した動画やマーケティング素材などのデータが、複数のシステムやストレージに分散して保管されていることがあります。これにより、必要な動画を迅速に探し出すのが難しくなり、業務効率が低下する原因となります。また、最新バージョンの動画を見つけられない、重複したデータが複数保存されるなどの問題も発生します。

• データ量の増加：
  

  動画データは高画質化が進むにつれ、1つのファイルの容量が大きくなる傾向があります。特に4Kや8Kといった高解像度の動画は非常に大容量で、サーバーやクラウドストレージの容量を圧迫します。これにより、ストレージコストが増加し、さらにシステム全体のパフォーマンスにも影響を与える可能性があります。

• メタデータの不足：
  

  動画ファイル自体には限られた情報しか含まれていないため、メタデータ（タイトル、作成日、内容の要約など）が不足していると、特定の動画を検索・分類するのが難しくなります。動画の内容を詳細に把握するためには、効果的なメタデータ管理が必要ですが、手動でメタデータを入力する作業は手間がかかり、人的ミスが発生しやすい点も課題です。

• 動画データの長期保存とアーカイブ：
  

  動長期間保存しなければならない動画データの管理も企業にとって大きな課題です。特に、法的要件やコンプライアンスのために長期間保管する必要がある場合、適切なアーカイブシステムがないと、古いデータが散逸したり、再生が困難になるリスクがあります。また、データが劣化しないような適切なフォーマットで保存することも重要です。

1-2 DAMとAIが注目される理由

このような課題を解決するために、DAMとAIが注目されています。DAMは、デジタルアセット（動画、画像、ドキュメントなど）の管理を一元化するシステムであり、大量のデータの中から必要なデータを効率的に検索する機能を提供します。一方、AIは大量のデータから有用な情報を自動的に抽出し、検索精度を向上させることができます。これらの技術を組み合わせることで、動画検索の効率と精度が飛躍的に向上します。

DAMとAIが注目される理由は以下の通りです：

• 動画コンテンツの爆発的増加：
  

  動画コンテンツの急増に伴い、効率的な管理においてDAMは重要な役割を果たします。DAMは、動画を整理・検索しやすくする機能を提供し、動画の一貫性やアクセス管理を強化することができます。加えて、AIの導入により、メタデータの自動生成やコンテンツのタグ付けが可能となり、膨大な動画データでも迅速に管理できるようになります。

• 動画検索の精度向上の必要性：
  

  A従来の動画管理では、必要なコンテンツを手動で探し出すのに時間がかかることが多く、特に大量の動画データを持つ企業では、検索に多くのリソースを割かなければなりません。AIを活用することで、動画の内容を自動的に分析し、顔認識や音声解析などを使って動画内の情報を正確に把握し、キーワードによる高度な検索を可能にします。

• 多様なプラットフォームでの動画活用：
  

  現代のビジネスでは、動画コンテンツは複数のデジタルチャネルで活用されます。ソーシャルメディア、ウェブサイト、広告キャンペーンなどで異なるフォーマットや解像度が求められるため、各プラットフォームに最適化された動画の管理が必要です。DAMは、異なるフォーマットやバージョンを一元的に管理できるため、効率的なマルチチャネル展開が可能です。

2-1 DAMの基本概念と機能

DAM（デジタルアセット管理）は、企業内のデジタル資産を一元管理し、効率的な検索、共有、利用を可能にするシステムです。DAMの基本概念は、企業が保有する全てのデジタルコンテンツを集中管理し、必要な情報に迅速にアクセスできるようにすることです。これにより、業務効率が向上し、コスト削減が実現します。詳しくは、こちらのコラム（デジタルアセット管理（DAM）の重要性とは？ビジネスメリットの解説）に記載しておりますので参考にしてください。

2-2 動画検索におけるDAMの利点

動画検索において、DAM（デジタルアセット管理）システムの導入は非常に有効です。DAMは動画のメタデータを詳細に管理し、検索性を大幅に向上させます。具体的には、動画の内容や属性に基づいてメタデータを自動生成し、ユーザーがキーワードやフィルターを使用して迅速に必要な動画を見つけることが可能になります。これにより、検索時間が短縮され、業務効率が向上します。

DAMの利点をさらに詳しく見ると、以下のような点が挙げられます：

• 詳細なメタデータ管理：
  

  DAMシステムは、動画の内容を詳細に解析し、関連するキーワードやタグを自動的に付与します。これにより、ユーザーは特定のテーマやシーンに基づいて動画を検索することができ、精度の高い検索結果が得られます。

• 一元管理による効率化：
  

  すべての動画コンテンツが一元的に管理されるため、異なる場所に保存された動画を探し出す手間が省けます。これにより、検索プロセスが簡素化され、迅速なアクセスが可能になります。

• バージョン管理機能：
  

  最新の動画バージョンが常に利用可能であるため、古いバージョンとの混同を避け、正確な情報を元にした検索ができます。これにより、情報の一貫性が保たれます。

• カスタマイズ可能な検索フィルター：
  

  DAMシステムは、ユーザーがカスタマイズ可能な検索フィルターを提供し、特定のカテゴリや条件に基づいた検索を容易にします。例えば、特定の期間にアップロードされた動画や特定のプロジェクトに関連する動画を迅速に見つけることができます。

3-1 動画検索におけるAIの活用方法

AIは、動画検索において非常に重要な役割を果たします。AIを活用することで、動画の内容を自動的に解析し、関連するキーワードやタグを自動生成することが可能です。これにより、ユーザーはキーワード検索だけでなく、内容ベースの検索も行えるようになります。

動画検索におけるAIの具体的な活用方法は以下の通りです：

• 音声認識：
  

  動画内の音声をテキストに変換し、音声検索を可能にします。これにより、特定のフレーズや単語が含まれる動画を迅速に検索できます。

• 画像認識：
  

  動画のフレームを解析し、特定のオブジェクトやシーンを識別します。これにより、視覚的な要素に基づいた検索が可能になります。

• 自然言語処理：
  

  動画の説明文やコメントを解析し、関連するキーワードを抽出します。これにより、コンテンツの文脈に基づいた検索が可能になります。

3-2 AIによる検索精度向上のメカニズム

AIによる検索精度の向上は、機械学習とディープラーニングの技術に基づいています。これらの技術は、大量のデータからパターンを学習し、検索クエリに対する最適な結果を提供します。

具体的には、以下のようなメカニズムが活用されます：

• フィーチャー抽出：
  

  動画のフレームや音声データから特徴量を抽出し、データベースに格納します。これにより、検索クエリと一致する特徴量を迅速に検索できます。

• パターン認識：
  

  過去の検索クエリと結果を学習し、類似のクエリに対して最適な結果を提供します。これにより、検索精度が向上します。

• コンテンツベースのフィルタリング：
  

  動画の内容に基づいて、関連性の高いコンテンツを推薦します。これにより、ユーザーは関連する動画を簡単に見つけることができます。

DAMとAIを統合することで、動画検索の効率と精度は飛躍的に向上します。例えば、DAMシステムにAIを組み込むことで、動画のメタデータが自動的に生成され、検索性が向上します。また、AIがユーザーの検索パターンを学習し、個々のユーザーに最適化された検索結果を提供することも可能です。これにより、ユーザーは必要な動画を迅速かつ正確に見つけることができ、業務効率が大幅に改善されます。DAMとAIの連携による具体的な活用手法については、こちらのコラムに詳しく掲載しておりますので、参考にしてください。

5-1 DAMソリューション「CIERTO（シエルト）」について

当社が開発及び提供をしているCIERTOは、幅広い業界で導入されているDAMソリューションになります。様々な目的で導入されていますが、動画管理を目的としている会社藻多く、動画制作会社やアニメーション制作会社、エンターテインメント企業、セミナー動画を多く扱うコンサルティング会社など、数多くの企業がCIERTOを活用し、動画管理を実現しています。 CIERTOでは、動画のコマ割り表示や再生速度調整、トリミング機能、トランスコード変換機能など動画活用を支援する様々な機能を提供します。また、動画検索を向上させる多様な検索機能について以下に紹介します。

＜CIERTOによる動画検索＞

• メタデータ検索：
  

  動画ファイルや格納しているフォルダに対して、関連するキーワードやタグを自由に付与し、検索することが可能です。

• シーン検索：
  

  動画のシーンに対して自由に属性情報を付与することで、動画ファイル内のシーン検索を行うことが可能です。

• 音声検索：
  

  動画内の音声をAIにより自動抽出し、音声から動画を検索することが可能です。

• 文字検索：
  

  動画内で再生される内容に文字が入っている場合、OCRで文字を自動抽出し、動画内の文字から動画を検索することが可能です。

• 字幕検索：
  

  動画内の字幕をAIで自動抽出し、字幕から動画を検索することが可能です。