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台割とは?スムーズな制作進行に欠かせない台割管理のご紹介

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印刷物や出版物の制作現場で、効率的な進行を支える重要な要素の一つが「台割」です。台割とは、ページの配置や内容を計画的に整理することで、全体のバランスを取りながら制作をスムーズに進めるための設計図のようなものです。しかし、ITツールを使わずに台割管理を行うと、進行の遅れやミスが発生しやすく、結果としてクオリティの低下や納期遅延といった問題が生じることもあります。本コラムでは、台割の基本的な役割と、従来の台割管理の課題を解説し、これらを解決するために効果的な台割管理ソリューションをご紹介します。さらにDAM(デジタルアセットマネジメント)との組み合わせによる相乗効果についても詳しく解説します。

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1.台割とは

「台割」とは、主に出版業界で用いられる用語で、冊子や本を作成する際にページの内容や配置を決定し、1枚の用紙にどのページを印刷するかを設計することを指します。印刷物の制作過程において、用紙の折り方やページの順序は重要であり、台割を作成することで印刷後にページが正しく組み合わさるように折り方や綴じ方を計画できます。この計画により、最終的な製品が意図した通りの形になります。

台割の作成によって、編集者やデザイナーはどのページにどの情報を配置するかを事前に把握できるため、原稿の作成や写真撮影、デザインなどの作業が効率的に進められます。

しかしながら、雑誌や書籍、社内報、IRレポートなどのドキュメント制作において、台割や進行の管理は複雑になりがちです。通常、台割は紙やExcelやパソコン上で動く専用のシステムで管理されることが多く、手作業で編集する手間や負荷が多くかかります。 さらに、編集環境が限られるため更新や情報共有が不十分になることがあり、その結果、バージョンの取り違いなど印刷ミスが発生する危険性が高くなります。
この問題を解決するのがクラウド上で利用できる台割管理ソリューションです。

2.台割管理ソリューションとは

台割管理ソリューションとは、Webブラウザで台割の作成、編集、管理が行えるシステムです。台割は折、テーマ(記事)、広告、担当者のほかに、締切などのスケジュール、進捗情報、紙種やインクなどの印刷設定など様々な情報を管理する必要があります。 台割管理ソリューションではこれらの情報を一元管理することで、最新の台割状況を共有し進行管理を効率化するだけなく、基幹・広告システムと連携しバックオフィスも支援することが可能です。

台割管理ソリューションの主な機能
  • 台割情報の統合管理:Excelや広告管理システムなど複数のソースから台割情報を統合管理
  • 進捗管理機能:テーマ毎に進捗状況を登録、ステータス毎に色分けで表示され確認が可能
  • 台割編集機能:テーマや広告をドラッグ&ドロップで折に配置でき効率的に台割を編集
  • PDF出力機能:台割状況をPDFで出力、バージョン機能で改定の履歴管理も可能
  • 誌面プレビュー機能:台割の順番に合わせて誌面レイアウトをプレビュー表示
  • コンテンツ管理機能:写真・記事・誌面データなどの出版コンテンツを管理・活用が可能

3.導入のメリット

台割管理ソリューションを導入すると、Webブラウザを利用して台割を編集・共有できます。時間・場所・PCなどの環境問わず編集作業が実施できるため、リモートワークへの対応はもちろん最新の台割状況の共有も効率化され、編集者の業務負荷の削減が可能です。
また、基幹や広告システムと連動することで、掲載予定の広告が自動でインポートされ、台割の検討をスムーズに進められます。さらに、決定した台割情報を基幹・広告システムに出力することも可能なため、営業・経理業務の効率化・負荷軽減にもつながります。

  • 編集業務効率の向上  

    台割管理ソリューションでは、どの折にどのテーマ(記事)や広告を配置するかをドラッグ&ドロップで簡単に編集できます。Excelなどで台割編集する際の移動や割り込み配置の作業負荷がないため、編集の業務効率を向上させることができます。

  • 正確性・リアルタイム性の向上  

    Webブラウザでアクセスすることで常に最新の台割状況を確認できるため、過去の台割を参照してしまうなどミスを防ぎ、正確性を担保することができます。台割を編集する際も排他制御が働くため、同じ台割を複数人で同時編集し上書きしてしまう事故も防止できます。

  • デジタルメディア展開の時間短縮  

    台割情報だけでなく最新の編集状況も確認できるため、校了されたテーマ(記事)からデジタルメディアに向けての編集作業をスタートする事ができます。

写真や記事などのデータも台割と連動したコンテンツ管理の仕組みから即座に取得できスムーズに再活用を行う事が可能です。

4.台割ソリューションを導入すべき企業とは

台割ソリューションの導入が特に効果的な出版社には以下の特徴があります。

  1. 発行媒体が多い企業  

    発行媒体数と比例して台割編集にかける時間や手間も増加します。それだけ業務効率を阻害する要素も増えるため、台割管理ソリューション導入で多くの効果が期待できます。業務効率化によるコスト削減はもちろん、システム化による台割編集作業の平準化も可能となり、人的リソースの最適化も支援できます。

  2. 頻繁に台割変更がある媒体を発行している企業  

    広告やテーマ(記事)の特性で校了までに台割の変更が頻繁にある媒体では、それだけ台割編集の負荷が高くなるとともに、台割状況を正確に把握することも求められます。台割管理ソリューションでは、作業負荷を軽減するだけでなく、常に最新の台割状況を確認できる環境を構築できるため、ミス無く制作進行を行う事が可能となります。

  3. 印刷を複数の企業に依頼している企業  

    依頼する印刷会社が複数にわたる場合、各企業で台割の作法やシステムが異なりそれに対応するための負担がかかります。台割管理ソリューションは、各編集部の運用に合わせて閉じ方向・閉じ方式の冊子設定や、特集・連載・純広告・タイアップなどのカテゴリも設定できるため外部企業に依存することなく、台割を編集できる環境が構築できます。

台割ソリューションを導入すべきは、このような特徴を持つ出版社であり、効率的かつ正確な台割管理が求められる編集・制作においてそのメリットを最大限に享受することができます。

5.台割ソリューションを活用しない場合のデメリットとは?

台割ソリューションを導入しない場合、以下のようなデメリットが考えられます。

  1. 業務の非効率化  

    Excelや専用システムで編集する場合、編集作業の手間や負荷が高いだけでなく、限られた環境でしか編集や閲覧ができない事により、出社や台割の印刷・展開など余剰作業が増加が発生します。これらの作業が本来の編集業務を圧迫し、業務効率の低下につながります。

  2. 印刷ミスのリスク増加  

    紙やデータで台割の状況を管理することで、複数の版が発生し取り違いのミスが発生しやすくなります。これにより、印刷会社に誤った情報が提供され事故につながるリスクが高まります。

  3. 外部依存によるコスト増加  

    外部企業の台割管理システムを利用している場合、その企業に依存して制作を進めることになり協力企業の見直しなどが柔軟に行えない状況になります。これにより、見えないコストの増加が発生している危険性があります。

6.DAM(デジタルアセットマネジメント)との組み合わせによる相乗効果

管理において、まず重要となるのがデジタルアセットマネジメント(DAM)の活用です。デジタルアセットとは、写真、記事(テキスト)、イラスト、InDesignなどのレイアウトデータ、動画、PDFなどのデジタルコンテンツのことを指し、DAMはこれらを適切に管理することで情報の一元化と効率的な運用を可能とします。

出版業の編集作業において、DAMは非常に重要な役割を果たします。 各特集で利用する写真やイラスト・動画等の素材から、ライターによる記事などのテキスト情報も一元管理を行い、誰もがWebブラウザからアクセスし必要なコンテンツを検索したり、ダウンロード・アップロードによる共有を可能にします。
さらには、これらコンテンツに書誌情報や著作権情報を紐づけて管理することで、デジタルメディア展開や再活用の促進も支援します。

従来、台割で管理される情報のなかには実際のコンテンツは含まれないため、誌面の進捗は分かっても誌面イメージは確認できず、販促やデジタル展開で必要なデータは別途担当編集者とコミュニケーションをとって手に入れるしかありませんでした。 このような無駄な作業の発生を防ぐのが、台割管理ソリューションとDAMの連携です。
台割管理ソリューションで管理される台割情報と、DAMで管理される実際のコンテンツが連携することで、最新の誌面進行を確認しながら必要なデータの確認や取得・登録が行えます。
台割情報だけでなくコンテンツも集約され一元管理されることで、一貫した流れで無駄なくコンテンツ編集から多メディア展開まで進行でき、編集制作のプラットホームとして出版社の根底であるコンテンツ活用を支援することが可能です。
したがって、台割管理ソリューションとDAMの統合は単なる効率化だけでなく、出版社の資産活用の中核を成す重要な要素であり、収益化に向けた重要な一手と言えます。

まとめ

台割管理ソリューションは、Webブラウザ上で台割情報を管理・編集・共有するための強力なツールです。 導入することで、正確な台割情報の共有による印刷ミスのリスク削減、業務効率の向上、デジタルメディア展開の時間短縮など、さまざまなメリットが得られます。また、DAMを組み合わせることで、さらに総合的な情報管理と業務の効率化が図れ、競争力を高めることができます。当社では、台割管理ソリューション・DAMソリューションとして「CIERTO」(シエルト)を提案しています。詳しくは、こちらの製品サイトを参考にしてください。

最終更新日: 2024-09-25 at 14:26
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執筆者情報

ビジュアル・プロセッシング・ジャパン編集部です。マーケティングや商品、コンテンツ管理業務の効率化等について詳しく解説します。

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デジタルアセットマネジメント(DAM)を中核に、多様化するメディア(媒体)・コンテンツの制作・管理・配信環境を支援するITソリューションをご提案しています。