COLUMN

CIERTO

大手製菓メーカーが実践するデジタルコンテンツの管理手法とは?

アイキャッチ画像

製菓メーカーや飲料メーカー、冷凍食品メーカーなどの食品業界では、商品の多様化や規制対応の厳格化に伴い、商品画像、パッケージデザイン、栄養成分表などのデジタルコンテンツを適切に管理することがますます重要になっています。しかし、多くの企業では情報が部門ごとに分散し、更新漏れや誤ったデータの使用といった課題に直面しています。本コラムでは、食品業界におけるデジタルコンテンツの管理に着目し、課題の洗い出しと解決のためのアプローチを紹介します。また、大手製菓メーカーにおけるコンテンツ管理における課題と解決手法についても具体的に紹介していきます。

CIERTOバナー

食品業界におけるデジタルコンテンツ管理の課題点

1.データの分散管理による非効率性

食品業界では、商品の多様化や消費者のニーズの変化に伴い、商品に関する情報を正確かつ迅速に提供することが求められています。しかし、パッケージデザイン、広告素材、製品画像、栄養成分表示、レシピ動画などのデジタルコンテンツが複数のシステムやストレージに散在していることが少なくありません。 その結果、必要な素材を探すのに時間がかかり、業務効率が低下してしまうことや、分散したデータに最新情報を適用するのが困難になってしまう可能性があります。

2.素材データの品質管理不足

蓄積された素材データに対する管理が不十分となり、新しいパッケージデザインに更新されたにも関わらず、旧デザインのパッケージ画像がマーケティング資料に使用されたり、製品の栄養成分表の更新漏れが発生し、消費者に誤った栄養成分情報を提供してしまうなどのブランドイメージの低下に繋がる可能性があります。

3.トレーサビリティと規制対応の負担

原材料や成分情報、アレルギー対応情報など、多くのデータが規制に基づいて管理される必要がありますが、データ更新や管理が手動で行われている場合はミスが発生しやすかったり、国や地域毎に異なる食品表示基準に適応するのが困難となることがあります。

4.部門間の連携不足

マーケディング部門、品質管理部門、営業部門など、異なる部門間での連携が不十分である場合、マーケティング部門が新しいキャンペーン素材を営業部門に即座に提供できない、どの部門がどのデータを管理するのかの責任範囲の不明瞭化に繋がる可能性があります。

DAM(デジタルアセット管理)とは?

これらの課題を解決するために有効な手段として注目されているのが、デジタルアセット管理(DAM: Digital Asset Management) です。DAMは、企業が保有するすべてのデジタルコンテンツを一元管理し、効率的に活用できるようにするシステムや仕組みを指します。
食品業界では、商品画像やレシピ動画、パッケージデザイン、栄養成分表などの膨大なデジタルアセットを効率的に整理し、必要なタイミングで必要な人が迅速にアクセスできる環境を構築することで、業務効率やブランド価値を大きく向上させることができます。 次に、食品業界においてDAMを活用することで得られる具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。

食品業界におけるDAM活用のメリット

食品業界においてDAMを導入することで、以下のようなメリットを得ることができます。

【DAMがもたらすメリット】
  1. データの一元管理による業務効率化

    複数のシステムやストレージに散在していた商品画像や広告素材、レシピ動画などのデジタルコンテンツをDAMで一元管理することで、素材検索や共有にかかる時間を大幅に削減できます。これにより、商品リリースやキャンペーン立ち上げ時のスピードを向上させ、マーケットの変化に迅速に対応できるようになります。

  2. 最新情報の確実な共有によるブランド保護

    DAMでは、古い素材や誤ったデータの使用を防ぎ、すべての関係者が常に最新のデジタルアセットにアクセスできる環境を提供します。これにより、ブランドイメージの統一性を保ちつつ、不必要なリスクを回避することが可能です。

  3. 規制対応とトレーサビリティの強化

    食品業界では、国や地域ごとの食品表示基準への適合が求められます。DAMを利用することで、成分情報やアレルギー対応情報といった規制関連データを正確に管理し、簡単に更新・追跡できる仕組みを構築できます。これにより、法規制遵守の手間を軽減し、顧客からの信頼を向上させます。

  4. 部門間連携の促進

    マーケティング、品質管理、営業など異なる部門が同じプラットフォームを利用して情報を共有することで、部門間の連携をスムーズにし、責任範囲を明確化します。例えば、製品の販促用素材を営業部門が簡単にダウンロードできるようになり、迅速な顧客対応を実現します。

これらのメリットを活かし、食品業界では実際にDAMを導入して課題を解決し、ビジネス成果を向上させている企業が増えています。次に、具体的な事例を通じてDAMの活用がどのような成果をもたらすのかを見ていきましょう。

大手製菓メーカーにおける活用法

当社では、DAMシステムとして「CIERTO DAM」を提案しております。この製品は特定の業界のみに限定されず幅広い業界で導入され、多くの企業が商品画像、販促資料、広告コンテンツなどのデジタルアセットを一元管理するために活用しています。特に、ECサイト運営やWEBコンテンツ制作、カタログ制作などの分野で業務効率化が進み、運営コストの削減に寄与しています。 今回は、お菓子業界をリードする大手製菓メーカーが情報管理の課題を解決するためにDAM(デジタルアセットマネジメント)を導入し、業務効率化とコスト削減に成功した事例をご紹介します。

【DAM導入前の課題】
同社では商品に関するデータを複数のシステム・ツールにて管理しており、マーケティング部門が商品画像を画像検索システムで管理、デザイン部門が商品パッケージの版下・展開図・商品パーツ画像をBOX内の部署フォルダに保管といった形で別々の部門がそれぞれのルールで管理していました。また、既に商品情報管理システムは導入していましたが、そこに管理している商品情報(商品名、発売日、アレルギー情報など)と関連する商品画像や販促資料(例:レシピPOP、商品パーツ画像など)がシステム上で紐づいていませんでした。これらの結果、次のような課題が発生していました。

  1. 管理および情報の分散

    先述の通り、商品画像や販促資料が部署ごとに異なるシステムやルールで管理されていたため、営業部の担当者が新商品や既販売商品の画像データ等を探す際に、欲しいデータがどこにあるか分からない状況が多々あり、商品画像はマーケティング部門、広告用の画像や動画は広告部というように各部署への確認および問い合わせの工数が発生していました。

  2. 検索効率の悪さ

    同社では1商品につき6~7点の画像があり、年間800点の新商品画像や既存更新画像の登録という膨大なデータが存在しますが、商品画像がBOXや画像検索システム、社内ファイルサーバーといった複数のシステムに分散しており、必要な情報を探す際に複数のシステムや部署を行き来する必要がありました。また、商品画像と商品情報が別のシステムで管理されており相互に紐づいていなかったため、例えば営業部の担当者やマーケティング部の担当者が企画書の作成や商品化会議資料の作成のために必要な画像を検索したが、商品サイズや原材料、アレルギーなどの商品情報が確認できないため、再度商品情報が管理されているシステムを探しに行くという検索の工数が発生していました。

  3. 人的ミスのリスク

    属人的なやり取りが多く、アクセス権や使用期限の管理が徹底されていなかったため、発売前商品などの機密情報の外部流出リスクが常に存在していました。

  4. 他媒体への流用性の悪さ

    多様なデータ形式やサイズの用意が無いため、社内外のデザイナーやマーケティング部門がそれぞれで管理しているBOXやファイルサーバにデータを登録する際に、フォーマットやサイズ違いの様々な画像を事前に作成し登録する工数が発生していました。

【DAM導入後の成果】
CIERTO DAMを導入した結果、次のような効果が得られました。

  1. マーケティング素材の一元管理

    CIERTO DAMに商品画像およびメタデータを一元管理することで、情報収集時にはDAMにアクセスすれば画像と商品情報を一度に素早く探し出すことが可能となりました。また、システムをDAMに統合することでデータの登録および管理ルールが統一化され、一貫性のあるデータ運用と業務の効率化が実現できました。 そのうえで、既存の商品情報システムと連携することで、当社では商品画像登録時に商品コードを入力するという特定のルールさえ守っていれば、登録後に自動で登録商品に情報が紐づけられるため、データ入力ミスや運用コストの削減にも繋がっています。これらにより、日々の営業部からの問い合わせ対応等の無駄な作業が削減され、他の企業利益に関わる業務に時間を充てることが可能となりました。

  2. 商品情報を活用した高度な検索

    商品情報システムから連携された情報(商品名、商品コードなど)により、利用者は必要な商品画像や販促資料を迅速に見つけ出せるようになり、さらに発売日などの商品情報でソートも可能になことで、情報検索に費やす時間が大幅に削減されました。 検索の結果、商品や製品パッケージなどの画像はもちろん、原材料やアレルギーなど商品情報も確認・取得することができるため、営業担当の企画書作成などで必要な情報を即座に取得できるようになったことで、作業の効率が飛躍的に向上し、業務がスムーズに進むようになりました。

  3. 情報の安全性向上

    CIERTO DAMではアクセス権限や使用期限の設定を細かく設定することが可能となります。例えば当社では商品パッケージの出稿データは、そのままデザイン制作に使える生のデータなので、機密保持のために特定のユーザーにしかアクセスできないようにしていたりと、部門や担当者ごとに閲覧できるフォルダやファイルを制限したり、メタデータ情報をもとに使用期限管理をすることで、不適切な情報使用やファイルの誤管理を防止し、コンテンツの安全性も向上しました。

  4. データの流用性向上

    CIERTO DAMでは、デザインデータなどの高品質なデータをJPGやPNGといった軽量な形式に変換することが可能となります。これにより、以前は事前にデータを加工し、複数形式を登録していた手間が削減され、利用者が用途によってCIERTO上で簡単に加工および活用できるようになりました。

PIM導入でさらなる効果

CIERTO DAMの導入によりデジタルアセットの一元管理と効率的な活用が実現しましたが、さらなる業務改善を目指すなら、PIM(商品情報管理)システムの導入も有効です。PIMは、製品に関する情報(商品名、説明、成分、アレルギー情報、価格、サイズなど)を一元管理し、複数のチャネルにわたって正確かつ一貫した情報を提供するためのシステムです。

DAMとPIMを連携させることで、次のような相乗効果が期待できます。
  1. 商品情報とデジタルアセットの統合管理

    PIMで管理する製品情報とDAMで管理する画像や販促資料を紐づけることで、情報をより効率的に扱えるようになります。これにより、ECサイトやカタログ制作の際に必要なコンテンツ(テキスト情報+関連ファイル)を迅速かつ正確に準備できます。

  2. 多チャネルでの情報一貫性の向上

    PIMを活用することで、各媒体ごとの必要な情報およびファイルをそれぞれ最適な出力形式で出力できるため、ECサイト、カタログ、店舗用POPなど、複数のチャネルにわたる商品情報の一貫性を確保できます。これにより、顧客への信頼性が向上し、ブランド価値の維持につながります。

  3. 規制対応のさらなる強化

    商品情報をPIMで一元管理することで、食品業界で必要とされる法規制や表示基準への対応がさらに容易になります。情報をリアルタイムで更新できるため、新しい規制や地域ごとの要件にも柔軟に対応可能です。

  4. マーケティング活動の強化

    PIMとDAMのデータを活用することで、ターゲット顧客に最適なコンテンツを素早く提供できるようになります。これにより、キャンペーンやプロモーションの効果を最大化することが可能です。

まとめ

食品業界では、消費者ニーズの多様化や規制対応の複雑化により、効率的な情報管理がこれまで以上に重要となっています。DAMを導入することで、デジタルアセットの一元管理や業務効率化が実現し、さらにPIMを組み合わせることで、商品情報の一貫性を高め、競争力を強化することが可能です。

VPJでは今回ご紹介したDAMとPIM両方のソリューションをご提供しております。
もしご興味をお持ちいただき、CIERTOに関する情報をお求めの場合は、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。製品デモのリクエスト、資料のご請求、または導入に関するご相談など、どのようなご質問にも喜んでお答えいたします。
最終更新日: 2025-02-28 at 15:37
関連製品の詳細はこちら

執筆者情報

ビジュアル・プロセッシング・ジャパン編集部です。マーケティングや商品、コンテンツ管理業務の効率化等について詳しく解説します。

【株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパン について】
デジタルアセットマネジメント(DAM)を中核に、多様化するメディア(媒体)・コンテンツの制作・管理・配信環境を支援するITソリューションをご提案しています。