自動車メーカーの販促業務を変える ― DAM×PIMで実現するブランド統一と制作スピードの両立

CIERTO DAM / PIM
  • データ一元管理
  • ブランディング
  • マルチチャネル配信
  • 業界アプローチ

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自動車・モビリティ業界では、製品ラインアップの多様化や販売チャネルの拡大により、扱う情報と素材がかつてないほど増えています。しかし、その課題は一様ではありません。メーカーのマーケティング担当者、販売会社・ディーラー、そしてグローバルブランドを展開するデジタル戦略担当――それぞれの立場で抱える悩みや課題は異なります。

たとえばメーカーのマーケティング部門では、複数媒体での制作スピードとブランド一貫性の両立が課題であったり、ディーラーや販売代理店では、最新素材の入手や店舗ごとの表現統一に頭を悩ませています。一方、グローバル展開を行うブランドでは、多言語・多地域での素材管理やローカル展開の統制が求められています。このように「自動車業界」とひとくくりにしても、情報と素材の扱い方には大きな違いがあります。
そこで、立場ごとの課題に焦点を当てながら、DAM(デジタルアセット管理)とPIM(製品情報管理)による解決策を解説します。

本コラムではその第1弾として、メーカーのマーケティング・販促担当者にフォーカスし、ブランド統一と制作スピードの両立という永続的な課題に対し、DAM×PIMがどのように解決をもたらすのかを詳しく掘り下げます。

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1. なぜ今、自動車メーカーにDAMとPIMが必要なのか

自動車業界では、モデルチェンジや限定車、アクセサリー展開などが頻繁に行われ、扱う素材と情報の量が爆発的に増えています。新車発表時には撮影データ、動画、カタログ原稿、Web用テキストなど、膨大なデジタル資産が発生しますが、それらを正確に管理し、各媒体にスピーディに展開する体制を維持するのは容易ではありません。実際、販促担当者からは「どれが最新版かわからない」「Webとカタログで表記が違う」「代理店に素材を送るのに時間がかかる」といった声が絶えません。

こうした課題の根底にあるのが、“情報と素材がバラバラに管理されている”という構造的な問題です。製品スペックはExcelで、写真は社内サーバーで、販促素材は外部ストレージで――という分断された環境では、更新や共有のたびに確認作業が発生し、制作スピードが落ちてしまいます。ブランドガイドラインを守る意識があっても、管理が追いつかずに齟齬が生じるのは避けられません。

この状況を抜本的に変えるのが、DAM(デジタルアセット管理)とPIM(製品情報管理)という2つの仕組みです。DAMは画像・動画・グラフィックなどの“素材”を一元管理し、権限や利用ルールを設定することで常に最新版を共有できます。一方PIMは、車種名やスペック、価格、説明文などの“情報”を整理・統合し、あらゆる媒体に正確な内容を配信できる仕組みを構築します。

この2つを連携させることで、素材と情報が常にセットで更新され、どのチャネルでも統一された表現を維持できるようになります。DAMやPIMの導入により、制作や確認に費やしていた時間を大幅に削減し、「正確で早い情報発信」と「ブランド一貫性の維持」を両立できます。

いま、自動車メーカーの販促現場に求められているのは、単なる制作効率化ではなく、全社的なデジタル資産運用の仕組み化です。DAMとPIMの連携は、そのための基盤を築く第一歩となります。

2. メーカーの販促部門が直面する4つの課題

自動車メーカーの販促業務は、デジタル化によってかえって複雑化しています。各チャネルで必要とされる情報や素材が増える一方、社内外の関係者が多く、制作・確認・承認のフローも長期化しがちです。ここでは、多くのメーカーで共通して見られる4つの課題を整理します。

2-1. 素材と情報が部門ごとに分散し、最新版の特定が難しい

新車発表時には、開発部門・販促部門・広報・代理店など、複数のチームが同時に素材を扱います。その結果、車両画像やコピー、スペック情報がそれぞれ異なる場所に保存され、どれが最終版なのか判断できない状況が生まれます。サーバーやクラウド上でファイルが重複し、誤った素材を使用してしまうケースも珍しくありません。
これにより、修正指示や確認作業が増え、業務全体のスピードが落ちてしまいます。

2-2. ブランドトーンや表現ルールが徹底されない

モデルや地域、媒体ごとに異なるチームが制作を行うため、ブランドトーンやデザインルールの統一が難しくなっています。
特にディーラーや海外販社向けに素材を提供する場合、ガイドラインの更新が行き届かず、ロゴサイズや色味、ビジュアルのトリミングなどがバラつくことも。ブランドの世界観が一貫しないまま素材が公開されると、企業イメージそのものの信頼性が損なわれるリスクがあります。

2-3. 情報修正や更新に時間がかかり、誤表記リスクが発生

車両スペックや価格、装備構成などは販売期間中にも変更されることがありますが、現在多くのメーカーでは各媒体を個別に修正しているのが実情です。
この手作業による更新フローでは、修正漏れや反映遅延が起こりやすく、Webとカタログの記載内容が食い違うといったトラブルも発生します。正確さが求められる製品情報において、この齟齬はブランド信頼を損ねる重大なリスクです。

2-4. 過去素材の再利用が進まず、制作コストが増加

新車種やキャンペーンのたびに新たな素材を制作するケースが多く、過去に撮影・制作したデータが十分に活用されていないことも課題です。ファイル名や保存場所が統一されていないため、必要な素材を探し出すのに時間がかかり、結果的に新規撮影や再デザインが繰り返されています。
制作進行中のコンテンツや完成した成果物が整備された状態で管理されていれば活用できるはずの素材が“眠ったまま”になっているのです。


これら4つの課題は、いずれも素材と情報が統合的に管理されていないこと、つまり「情報と素材の分断」に起因します。管理体制が属人的で、部門単位での最適化に留まっている限り、全体のスピードと精度は上がりません。
次章では、こうした課題を解決する鍵となるDAM×PIM導入の効果について具体的に見ていきます。

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3. DAM×PIM導入で実現するメーカー業務の変革

前章で見たように、自動車メーカーの販促現場では、素材や情報の分断が原因で多くの非効率が生まれています。これを根本から解消し、ブランド価値を守りながら業務スピードを高める仕組みとして注目されているのが、DAMとPIMの連携運用です。ここでは、導入によってもたらされる主な3つの変化を紹介します。

3-1. 素材と情報の一元管理で「探す時間ゼロ」へ

DAMとPIMを連携させることで、画像・動画と製品スペックや説明文が紐づいた状態で管理されます。これにより、担当者は「どこに何があるのか」「どれが最新か」を意識せずに、必要な素材を即座に検索・活用できるようになります。
たとえば、車種名やカラー、販促時期などでフィルタリングすれば、関連素材と最新情報がセットで表示され、確認や差し替えの工数を大幅に削減できます。社内の誰もが共通の情報源を参照できることで、誤った素材使用や古い情報の掲載を防ぎます。

3-2. ガイドラインと承認フローの自動化でブランド統一を維持

DAMには、素材の使用権限や承認フローをルールとして組み込むことができます。
たとえば、広告素材をダウンロードできるのは承認済みのユーザーのみ、ロゴや車両画像には自動で最新テンプレートが適用されるなど、システム上でブランドガイドラインを担保する仕組みです。
これにより、「ルールを守る」ではなく「守れるように設計された運用」へと転換できます。各媒体での表現が統一され、グローバルブランドとしての一貫性が強化されます。

3-3. 多媒体展開を効率化し、制作リードタイムを短縮

PIMやDAMに登録された製品情報や製品写真を基点に、カタログ、Web、販促資料など複数媒体への展開を効率化できます。
たとえば、車両スペックやメインビジュアルを一元管理することで、各媒体に反映する際のデータ入力や確認作業を大幅に削減することが可能です。常に正確で最新の情報が集約管理されることで、担当者は細かな更新作業に追われることなく、内容のブラッシュアップや販促企画など、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになります。
結果として、新車情報やキャンペーン素材をスピーディに展開でき、販促タイミングの機会損失を防ぐことができます。


DAM×PIMの導入は、単なる業務効率化にとどまりません。情報と素材が統合されることで、各チャネルでの表現や情報整合性が保たれ、顧客がどの接点でも同じブランド体験を得られるようになります。
つまり、DAM×PIMは “ブランドコミュニケーションの土台”を支える仕組みであり、自動車メーカーのデジタル戦略において欠かせないインフラとなるのです。

4. メーカー視点で見るDAM×PIM活用シーン

DAM×PIMの導入は、日常業務のあらゆる場面で効果を発揮します。ここでは、自動車メーカーの販促・マーケティング活動の中でも特に改善効果が高い4つの代表的なシーンを紹介します。

4-1. 新車発表時の素材管理とスピード配信

新車発表の際には、カタログ・Webサイト・プレスリリース・SNSなど、複数の媒体で同時に情報を公開する必要があります。 従来は、撮影素材やコピー原稿を各部署・代理店へ個別に配布し、修正指示や差し替えが繰り返されていました。
DAMを導入すれば、発表素材を一元的に登録し、承認済みの最新版だけを各関係者がダウンロード可能にできます。
さらにPIMと連携することで、車両スペックや価格、グレード構成などの情報を自動反映できるため、複数媒体を同時に更新しても内容にブレが生じません
その結果、発表当日に向けた制作進行のスピードと精度が飛躍的に向上します。

4-2. ディーラーや販売会社との素材共有

販売会社やディーラーでは、地域の販促企画や店舗キャンペーンでメーカー提供の素材を活用します。
しかし、これまではメールやファイル共有サービスでやり取りされることが多く、最新版の確認や素材検索に時間がかかっていました。
DAM上で素材を共有すれば、ディーラーは常に最新のビジュアル・販促資料を自ら取得でき、本部確認のやり取りを減らして即時展開が可能になります。
また、利用履歴を可視化できるため、どの店舗がどの素材を活用しているか把握でき、効果測定にも活かせます。
ガイドライン付きの素材提供により、ブランド統一を保ちながら現場の自由度も確保できます。

4-3. 海外拠点・現地法人への素材展開

グローバル展開を行うブランドでは、各国での表現や言語、法規制の違いにより、素材や情報をローカライズする必要があります。
DAM×PIMを導入すれば、共通データベースをベースに、現地言語の情報をPIMで管理し、各国ごとに最適化した素材をDAMから配信可能です。
「本社が承認した素材だけを利用可能にする」「現地スタッフが言語・仕様を編集して登録できる」など、グローバル×ローカルのバランスを保った運用が実現します。
これにより、世界各地で一貫したブランド表現を維持しながら、ローカル市場への迅速な対応も可能になります。

4-4. Webサイトやカタログの自動更新と情報整合性の維持

新車発表後も、車両情報の更新や特別仕様車の追加は定期的に発生します。
そのたびに複数のシステムを手動で更新していては、反映ミスや時間的ロスが避けられません。
PIMで製品情報を統合管理し、CMSやカタログ制作ツールと連携させれば、情報変更を一度行うだけで全媒体に自動反映できます。
DAM側では、その変更内容に紐づく画像や動画も同時に最新版へ切り替わるため、全チャネルで常に整合性の取れた状態を保つことができます。
この仕組みによって、制作・審査・公開のリードタイムが短縮され、情報精度とスピードの両立が実現します。


DAM×PIMを活用することで、販促・販売・海外展開など部門を越えて共通のデータ基盤が整備されます。それは単なる業務効率化にとどまらず、“データとブランドを正しく扱える企業”としての競争力につながります。
次章では、こうした変革を支えるVPJの統合プラットフォーム「CIERTO」が、どのように自動車メーカーの課題を解決するのかを紹介します。

5. CIERTOが提供する自動車メーカー向けソリューション

自動車メーカーの販促現場では、膨大な素材・情報を扱いながらも、「スピード」「正確性」「ブランド統一」という3つの要素を常に両立させる必要があります。VPJが提供するCIERTOは、これらの課題を一つの基盤で解決するDAM×PIM統合プラットフォームです。ここでは、CIERTOの主な特徴と、導入によって得られる具体的な効果を紹介します。

5-1. DAM×PIMを統合したオールインワン設計

CIERTOは、画像・動画・グラフィックなどのデジタルアセット(DAM)と、製品スペック・価格・テキストなどの製品情報(PIM)を統合管理できるプラットフォームです。
これにより、車両画像とスペック情報が常にセットで管理され、更新や共有が一元化されます。
登録したデータは、カタログやWebサイト、販促資料など複数の媒体と連携でき、一度の更新で全チャネルを最新化することが可能です。
また、タグ・メタデータ管理機能により、必要な素材を「車種名」「年式」「販促時期」などで素早く検索できます。

5-2. ブランドガバナンスと承認フローの自動化

自動車ブランドの世界観を維持するために、CIERTOではブランドガイドラインをシステム上で担保できます。
素材ごとに使用条件や利用期限を設定し、未承認素材の使用や誤用を防止します。
承認フロー機能により、デザイン・法務・販促など複数部門が関与する確認プロセスを効率化し、ヒューマンエラーを減らしますことで、品質を犠牲にせずスピードを上げる運用が実現します。

5-3. 国内外拠点・販売会社への素材共有を最適化

CIERTOでは、アクセス権限を細かく設定できるため、国内外の販売会社や代理店にも安全に素材を配布できます。
ユーザーはブラウザ上で簡単に素材を検索・ダウンロードでき、常に最新版のみを取得可能です。
利用状況を可視化するダッシュボードにより、「どの拠点でどの素材が使われているか」を把握し、グローバルレベルでの運用改善にもつなげられます。
結果として、情報共有のスピードと透明性が向上し、本社からの統制も容易になります。

5-4. CMS・EC・ERPなど既存システムとの柔軟な連携

CIERTOは、既存のCMSやカタログ制作システム、ERPなど外部システムとAPIで連携できます。
これにより、既存の業務フローを大きく変えることなく、段階的な統合運用が可能です。
たとえば、PIMの情報をCMSに自動反映したり、DAM内の素材をECサイトの商品ページへ直接出力したりといった使い方もできます。
システム間のデータの流れが整うことで、制作・管理・配信のすべてが一気通貫で運用できるようになります。

5-5. 導入効果 ― スピードと品質を両立する新たな運用体制へ

CIERTOを導入した自動車メーカーでは、素材の検索・配布にかかる時間を大幅に削減し、販促制作のリードタイム短縮に成功しています。また、社内外で使用する素材や情報が統一されることで、ブランド表現の一貫性が高まり、社内承認のための複雑なコミュニケーションも減少しています。
制作部門・販売会社・代理店が同じ基盤を共有することで、ブランドルールを守りながらも、各現場が柔軟かつスピーディに販促を展開できる環境を実現します。
このように、CIERTOは単なるシステム導入ではなく、メーカー全体の業務を“正確で速いブランド運営”へと変える仕組みなのです。


DAM×PIMを統合的に活用することで、素材と情報がひとつの資産として生きるようになります。
CIERTOはその中心に位置し、販促業務だけでなく、ブランド戦略・製品企画・販売支援までをつなぐ情報ハブとして機能します。
次章では、この基盤がもたらす長期的な価値と、今後の自動車メーカーに求められるデジタル戦略についてまとめます。

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6. まとめ : メーカーのブランド価値を支える“デジタル資産基盤”へ

自動車業界では、製品の多様化と販促チャネルの拡大により、これまで以上に「情報の正確さ」と「スピード」が求められています。部門や媒体ごとに素材を管理する従来の体制では、制作効率とブランド一貫性を両立することは難しくなっています。

その中で、素材(DAM)と情報(PIM)を統合的に管理する仕組みは、もはや“便利なツール”ではなく、ブランド経営を支える基盤となりつつあります。VPJのCIERTOは、DAM×PIMを中心に「正確な情報を、正しいタイミングで、すべてのチャネルへ届ける」環境を実現します。これにより、自動車メーカーはブランドの信頼性を保ちながら、デジタル時代のスピードに対応できる柔軟な体制を築けます。

素材と情報を共通の基準で整理することは、販促にとどまらず、企画・営業・海外展開にも効果をもたらします。組織全体が同じ情報をもとに動けるようになり、データドリブンなブランド経営への進化を後押しします。DAM×PIMの導入は、製品だけでなく情報でもブランド価値を高めるための“デジタル資産基盤”の整備です。 CIERTOはその中心として、自動車メーカーのブランドを、より強く、より速く支え続けます。

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執筆者情報

ビジュアル・プロセッシング・ジャパン編集部です。マーケティングや商品、コンテンツ管理業務の効率化等について詳しく解説します。

【株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパン について】
デジタルアセットマネジメント(DAM)を中核に、多様化するメディア(媒体)・コンテンツの制作・管理・配信環境を支援するITソリューションをご提案しています。