自動車ブランドのグローバル販促を変える ― DAM×PIMで実現する多言語・多拠点運用の最適化
- データ一元管理
- ブランディング
- 顧客体験・データ品質
世界のどこでも“同じブランド価値”を届けるために
自動車ブランドが海外展開を広げる中で、国や地域ごとの言語・文化・法規制に合わせたローカライズは欠かせません。しかしローカライズを進めるほど、本社と海外拠点で素材が分散し、情報の更新タイミングや表現が揃わなくなるといった課題が生じやすくなります。ブランドを守りながら各国でスピーディに展開するためには、共通のデータ基盤が必要です。
そこで注目されているのが、DAM(デジタルアセット管理)とPIM(製品情報管理)を組み合わせたグローバル統合環境です。本社・現地法人・代理店が同じ情報源を使うことで、統一されたブランド表現とローカライズの柔軟性を両立できます。
本コラムは、「自動車・モビリティ業界向け DAM×PIM 活用シリーズ」第3弾(グローバル編)として、海外展開で直面する情報管理の課題と解決策をわかりやすく解説します。
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1. 自動車ブランドのグローバル展開が複雑化する背景
自動車ブランドが世界各国へ展開する現在、販促活動はかつてよりもはるかに複雑なプロセスとなっています。各国の市場には独自の文化や価値観があり、製品メッセージやビジュアル表現、訴求ポイントはそれぞれに合わせて調整する必要があります。また、地域ごとに異なる法規制や掲載基準にも対応しなければならず、ひとつの素材をそのまま全世界で使えるケースは限られています。
こうした背景から、本社が作成した素材や製品情報は、海外拠点や現地法人によってローカライズされ、複数のバージョンが存在する状態になりがちです。さらに、素材の配布チャネルや管理方法が拠点ごとに異なると、どれが最新バージョンなのかが分からなくなり、情報のズレや表現のばらつきを引き起こします。
また、販促チャネルが多様化したことで、地域専用のWebページ、SNS、広告、店頭ツールなど、必要とされる素材の数も増加しています。本社と海外拠点が距離的にも組織構造的にも離れているため、スムーズな共有が難しく、更新作業が遅れたり、キャンペーン公開のタイミングが揃わないといった問題も生じやすくなっています。
このように、多拠点・多媒体・多言語という複雑な構造の中で、自動車ブランドのグローバル販促は「最新素材と正しい情報が、世界のどこでも適切に使える状態を保つ」ことが大きな課題となっています。
その課題を解決するためには、素材と情報を一元的に扱い、各国が共通の基盤を使って運用できる仕組みが不可欠です。
2. 海外展開で生じる5つの情報管理課題
自動車ブランドが海外市場へ販促を展開する際、本社と海外拠点・現地代理店の間で発生する情報管理の問題は多岐にわたります。ここでは、特に多くのブランドで共通して見られる5つの課題を整理します。
2-1. 国や拠点ごとに素材が分散し、最新版が把握しにくい
本社が制作した画像、動画、カタログデータが、各国のフォルダや外部ストレージ、ローカル環境に散在し、どれが最新版かすぐに判断できない状況が生まれています。
素材が各拠点で複製・改変されることで、同一素材が複数バージョン存在し、ブランドとしての基準が曖昧になるリスクが高まります。結果的に、現地法人から「最新データを送ってほしい」という問い合わせが増え、本社の負担も膨らんでいきます。
2-2. ローカライズの自由度とブランド統制のバランスが難しい
各国ごとに市場特性が異なるため、訴求内容の調整や文言・デザインのローカライズは欠かせません。一方で、自由度が高すぎるとブランド表現が国ごとにバラつき、世界観の統一が損なわれてしまいます。
本社は「ブランド統制」を、現地法人は「市場に合わせた柔軟な表現」を求めており、双方の意図が噛み合わないケースも多く見られます。
2-3. 製品情報の更新が行き届かず、誤表記や古い情報の使用につながる
新車スペックや価格、装備の変更など、製品情報は常に更新されます。しかし、更新情報が本社から各国へ一斉に行き届かないと、国によって異なる情報が公開されてしまう事態が発生します。
Web、カタログ、店頭ツールなど媒体が増えるほど、手作業で反映する負荷も増え、誤表記のリスクが高まります。
2-4. 各国の公開タイミングが揃わず、グローバルキャンペーンが乱れる
グローバルで実施されるキャンペーンや新車発表は、本来は全世界で同時に近い形で展開したいものです。しかし、素材共有が遅れたり、情報が正しく伝わらなかったりすると、一部の地域だけ公開が遅れ、世界全体の統一感が損なわれる結果になります。
公開スケジュールが揃わないと、グローバルブランドとしてのインパクトも弱まり、販促効果にも影響します。
2-5. 本社・海外法人・代理店間のコミュニケーションが肥大化する
素材の受け渡し、利用可否の確認、修正依頼、ローカライズ内容のチェックなど、本社と海外拠点の間では日常的に多くのコミュニケーションが発生します。
特に、素材が分散している環境では「最新版はどれか」「どこまで編集していいのか」といった確認が増え、担当者の時間が奪われ、本来の戦略的な業務に集中できない状況が起こりがちです。
これらの課題は表面的には異なるように見えても、根本には 「情報と素材が一元的に管理されていない」 という共通の問題があります。
3. DAM×PIMが実現するグローバル基盤の変革
DAM×PIMを組み合わせた統合基盤は、本社・海外法人・代理店が“同じ情報源”を参照し、統一されたブランド表現を維持しながらローカライズを進められる環境を整えます。ここでは、グローバル展開において特に重要となる4つの変革ポイントを紹介します。
3-1. 素材と情報の一元管理で“世界共通の情報源”を実現
DAM×PIMを導入することで、画像・動画などの素材と、スペックや説明文といった製品情報を同じ基盤で管理できます。本社が更新した情報は、すべての拠点で即座に共有され、国によって情報がズレる状態を防止できます。
また、ローカライズ前の原稿やマスター画像が統一されることで、各国は安心して翻訳・編集作業を進めることができます。
3-2. ガイドラインと権限設定を仕組み化し、ブランド統一を世界規模で維持
DAMでは、素材ごとに使用条件・許可範囲・加工可否を設定できます。これにより、海外拠点が自由に編集しながらも、本社が定めたブランドガイドラインを逸脱しない運用が可能になります。
誰がどの素材を使えるかを制御する仕組みが整うため、ブランド表現の統一を世界レベルで担保しつつ、各国の事情に合わせた柔軟な展開も両立できます。
3-3. ローカライズ作業を効率化し、現地展開のスピードを向上
PIMに登録された製品情報を参照することで、ローカライズ時の翻訳内容や数値の整合性を自動で確認できます。DAMには各国向けのテンプレートや過去素材も管理されているため、現地法人が必要な素材を探す時間を減らし、制作に集中できる環境が整います。
これにより、製品情報の更新やキャンペーン展開における現地公開のスピードを全体的に向上させることができます。
3-4. 更新内容を全拠点へ同時に共有でき、公開タイミングを揃えられる
DAM×PIMを中心とした共通基盤があれば、本社が情報を更新した際、その内容を海外拠点へ一斉かつ確実に展開できます。これにより、各国で公開タイミングがズレる問題を減らし、グローバルキャンペーンを統一的なスケジュールで推進できます。
同時公開が実現すると、ブランドとしてのメッセージ力や発信のインパクトが大きく高まり、マーケティング全体の効果を最大化できます。
国・地域ごとに管理が分断されていた状態から脱却し、「本社で整えた情報が世界中で正しく展開される」そんな仕組みを実現できるのが、DAM×PIMを中心としたグローバル統合基盤です。
4. 海外展開での具体的なDAM×PIM活用シーン
グローバル規模でブランド運営を行う自動車メーカーでは、DAM×PIMを活用することで、国や地域ごとに異なる販促運用を共通の基盤へまとめ、表現の統一と運用効率を両立できます。ここでは、特に効果が出やすい4つの業務シーンを紹介します。
4-1. グローバルキャンペーンの素材配布・公開管理がスムーズに進む
新車発表やブランドキャンペーンは、本来であれば世界同時または近いタイミングで公開したい取り組みです。DAM×PIMがあれば、本社が登録した画像・動画・コピー素材がすぐに各国へ共有され、最新版だけが利用される状態を維持できます。
素材の受け渡しが統一されることで、国ごとの公開遅れや表現のバラつきを抑え、グローバルキャンペーン全体の統一感とスピードが向上します。
4-2. 多言語カタログやWebページの制作・更新が効率化
多言語対応のカタログやWebページは、国によって文言や数値が異なるため、更新作業が複雑になりがちです。PIMに製品情報を集約しておけば、各国のチームは常に最新の情報を参照しながら翻訳・編集作業を進められ、誤表記や情報のズレが減少します。
さらに、DAMにはテンプレート素材や過去の翻訳データも管理できるため、作業の再利用性が高まり、制作リードタイムの短縮につながります。
4-3. 現地法人のローカライズ制作が標準化され、ブランド統一を保てる
現地法人では、地域特性に合わせてビジュアルや訴求内容を調整する必要があります。しかし、自由度が高すぎるとブランド基準から逸脱するリスクが生じます。DAMでは、加工可否・利用範囲・推奨素材の設定ができるため、現地法人はルールに沿った形でローカライズが可能に。
これにより、本社・現地がそれぞれの役割を果たしながら、ブランド統一とローカル最適化を両立できます。
4-4. 外部制作会社や海外代理店とのデータ共有が統一される
海外展開では、外部の制作会社や広告代理店と連携する機会が多く、データが外部に分散しがちです。DAMを使えば、承認済みの素材のみを安全に共有でき、ファイルの混在や誤った素材使用を防げます。
また、代理店側も必要な素材を自分で取得できるため、本社・現地法人とのやり取りの手間が減り、制作や広告運用のスピードが向上します。
DAM×PIMの活用は、本社の管理効率を高めるだけではなく、海外拠点や外部パートナーを含めた「グローバル運用の現場」を大きく改善します。各国が効率よく動ける環境を整えることが、最終的にはブランド全体の統一と競争力強化につながります。

5. CIERTOが提供するグローバルブランド向けソリューション
VPJが提供するCIERTO(シェルト)は、DAM×PIM を組み合わせた統合基盤として、本社・海外法人・現地代理店が同じ情報を使って運用できる環境を構築します。グローバル展開特有の「多言語・多拠点・ローカライズ・表現統一」といった課題に対し、現場で実効性のある仕組みを提供します。
5-1. 本社・現地法人・代理店が使える“グローバル共通の情報源”を構築
CIERTOを導入すると、本社で管理する画像・動画・コピー・製品スペックがひとつの基盤に集約され、海外拠点は常に最新情報を取得できます。 国や地域ごとにフォルダやツールが分かれていた状態から脱却でき、世界中が同じマスター素材・マスター情報を参照する運用体制が実現します。
これにより、各国で情報のズレが生じるリスクを大幅に減らせます。
5-2. 多言語対応のメタデータ管理で、ローカライズを効率化
CIERTOは、製品名・説明文・注釈などを多言語のメタデータとして管理できるため、ローカライズ作業を進める際の情報整合性を保ちやすくなります。現地法人は、PIM上に集約された最新データを確認しながら翻訳や調整を進められるため、誤訳や数値の食い違いといったミスを防止できます。多言語展開を前提とした自動車ブランドにとって、安定した翻訳プロセスを支える仕組みになります。また、カスタマイズを実施することで、自社の要件に沿った自動翻訳の対応も可能となります。
5-3. ブランドガイドラインと権限管理で、世界レベルの表現統一を実現
CIERTOでは、素材ごとに使用可否や加工範囲などを細かく設定できます。これにより、海外法人が自由にローカライズしながらも、本社が定めるブランド基準を逸脱しない運用が可能になります。
たとえば、ロゴ位置のテンプレートやメインビジュアルの必須使用ルールを組み込むことで、誰が制作してもブランド基準に沿った表現が自然と担保されます。
5-4. 拠点間のやり取りを減らし、グローバル運用の負荷を大幅に軽減
これまで本社と海外拠点の間で頻発していた「最新版送付」「利用可否確認」「差し替え」などのコミュニケーションが、CIERTOの導入によって最小限になります。海外拠点や外部代理店は、CIERTO上で必要な素材を自ら取得できるため、メールによるファイル共有や確認作業が大幅に削減されます。結果として、本社・現地双方が戦略的な業務に集中できる環境が整います。
CIERTOは、単に素材や情報を管理するツールではなく、「世界中のどの拠点でも同じブランド価値を届ける」ための土台となるソリューションです。 本社・現地法人・代理店という多層構造の自動車ブランド運営において、統一とスピードを両立するためのグローバル基盤を実現します。
6. まとめ ― グローバルブランド価値を守る情報基盤へ
自動車ブランドのグローバル展開では、国や地域ごとの文化・言語・ルールに合わせたローカライズが欠かせない一方で、世界中で統一されたブランド表現を維持することも求められます。市場が広がるほど情報は分散しやすく、更新の遅れや表現の不一致が起きやすくなるため、従来の運用では管理しきれない領域が増えています。
こうした環境の中で重要になるのが、本社・海外法人・代理店が共通の基盤を使い、同じ情報を共有できる仕組みです。素材と製品情報を分断せず一元化することで、どの国でも最新かつ正しい内容をもとに展開でき、ブランド価値を損なわずにスピーディな現地対応が可能になります。
DAM×PIM は、その基盤づくりを支える中核となる存在です。本社のガイドラインを守りながら現地特性に合わせた調整を行い、多拠点での表現統一と公開スピードの両方を実現します。運用の属人性やコミュニケーション負荷を減らすことで、グローバル規模でのブランド発信がより安定し、継続的な成長につながります。
VPJが提供するCIERTOは、このグローバル基盤を現実的かつ運用しやすい形で構築できるソリューションです。分散しがちな素材と情報を整理し、世界中の拠点が同じ方向へ動き出せる環境を実現します。
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執筆者情報
ビジュアル・プロセッシング・ジャパン編集部
ビジュアル・プロセッシング・ジャパン編集部です。マーケティングや商品、コンテンツ管理業務の効率化等について詳しく解説します。
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