PIM(商品情報管理)とは?導入メリットや代表製品を解説!

企業が競争力を維持し、成長を続けるためには、効率的かつ効果的な情報管理が不可欠です。特に、商品情報を一元管理し、各部門やチャネルに正確かつ迅速に提供するための仕組みが求められています。その答えとなるのが「PIM(プロダクト・インフォメーション・マネジメント)」です。本コラムでは、PIMの概要とその導入メリット、導入すべき企業の特徴、そしてPIMを活用しない場合のデメリットやDAM(デジタルアセットマネジメント)との組み合わせによる相乗効果について詳しく解説します。

1.PIM(商品情報管理)とは
PIMの主な機能
- 商品情報の統合管理
ERPやPLMなど複数のソースから商品情報を一元管理し、情報の一貫性を確保。
- 商品情報の品質管理
データの正確性、完全性、一貫性を保持した情報管理。
- ワークフロー管理
商品情報の作成、承認、配布のプロセスを自動化。
- 多言語対応
グローバル展開を支援するための多言語対応機能。
- マルチチャネル配信
Web、EC、カタログ、アプリなど、複数チャネルへの効率的な配信。

2. PIMの導入が注目を浴びている背景
・価値観の多様化とカスタマージャーニーの複雑化
現代社会では、消費者の価値観が多様化し、購買行動も複雑化しています。インターネットやスマートフォンの普及により、消費者はSNS、レビューサイト、公式Webサイトなど、多岐にわたるチャネルで情報を収集し、比較検討を行っています。このような状況では、企業は各チャネルで一貫性のある正確な商品情報を提供することが求められます。PIMを導入することで、複数のチャネルに対して統一された商品情報を迅速に提供し、複雑化するカスタマージャーニーに対応することが可能となります。
・プロダクトライフサイクルの短期化への対応
技術革新やトレンドの変化により、商品のライフサイクルは年々短縮化しています。消費者のニーズや市場のトレンドが急速に変化する中、企業は新商品の市場投入をいかに迅速に行えるかが重要な課題となります。PIMを活用することで、商品情報の管理や更新を効率化し、短期間での市場投入を実現することができます。これにより、プロダクトライフサイクルの短期化という課題に柔軟に対応し、競争力を維持することが可能となります。
※参考:経済産業省「2021年版ものづくり白書│第1章 我が国ものづくり産業が直面する課題と展望」 (2021年5月28日発表)・オムニチャネル戦略の推進
オンラインとオフラインの境界が曖昧になり、オムニチャネル戦略が重要視されています。消費者は、実店舗、ECサイト、モバイルアプリ、SNSなど、さまざまなチャネルを横断して購買活動を行います。各チャネルで一貫性のある商品情報を提供することは、顧客体験の向上やブランド信頼性の確立に直結します。PIMの導入により、全チャネルで統一された商品情報を提供し、オムニチャネル戦略を効果的に推進することが可能となります。
このように、消費者の価値観の多様化、カスタマージャーニーの複雑化、プロダクトライフサイクルの短期化といった市場環境の変化に対応するため、多くの企業がPIMの導入を進めています。PIMを活用することで、商品情報の一元管理と効率的な運用が可能となり、競争が激化する市場での優位性を確立することが期待されます。3.PIM導入により得られる7つのメリット
PIMを導入すると、情報の確認や更新を一か所で行えるため、作業の効率化や誤りの削減も期待できます。情報がバラバラに管理されていると、重複や間違いが生じやすく、それが顧客体験の質を下げてしまいます。PIMによりデータを集約管理することで、カタログ作成、ECサイトの更新、マーケティング資料の作成など、様々なプロセスがスムーズになります。以下では、PIM導入により得られる代表的な7つの利点を解説します。
①商品に関連する情報を統合管理できる
PIMは、商品に関連するあらゆる情報(商品名、価格、説明、仕様、画像、動画など)を一元的に管理できます。これにより、情報の分散や誤りが減少し、効率的なデータ管理が可能になります。PIMによって商品情報の一貫性が確保され、データの正確さが向上します。
②業務の効率化に直結する
複数のシステムやデータベースに分散している商品情報を集約することで、業務の効率化が実現します。PIMを導入することで、商品データの検索や更新が迅速に行えるため、従業員の手間が削減されます。特に新商品の立ち上げやプロモーション活動の際、時間とリソースを大幅に削減できます。
③最新の正しい情報を確認できる
PIMは、商品情報のリアルタイム更新を可能にします。これにより、常に最新で正確な情報を確認でき、ミスを未然に防ぐことができます。特に商品仕様や価格が頻繁に変わるケースも多く、正確な商品情報を共有するうえでPIMは欠かせないソリューションです。
④プロモーション展開のリードタイム短縮
PIMは、マーケティング活動やプロモーションの迅速化にも貢献します。商品情報が整理されているため、カタログ作成やウェブサイト更新などのプロセスがスムーズに進行します。その結果、新商品の市場投入やキャンペーンの立ち上げにかかる時間を短縮し、競争力を高めます。
⑤ブランドイメージの向上が図れる
PIMを活用することで、統一された商品情報を提供でき、ブランドイメージの一貫性を維持できます。統合された正確な情報がすべての販売チャネルで同じように使用されるため、消費者に対して信頼感を与えることができます。また、ブランドの評判を高め、顧客ロイヤリティの向上にも繋がります。
⑥グローバル展開の促進ができる
PIMは、各国の市場や言語に対応した商品情報の管理を容易にします。これにより、グローバル展開を目指す企業は、各地域のニーズに合った商品情報を迅速かつ効果的に提供できます。ローカライゼーションに対応した情報をスムーズに配信できるため、海外進出時の課題を軽減します。
⑦従業員の満足度向上が図れる
PIMの導入により、従業員が必要な情報に迅速にアクセスできる環境が整います。業務の効率化が図られ、情報検索にかかる時間が短縮されることで、従業員のストレスが軽減されます。これにより、作業の生産性が向上し、結果として従業員の満足度も向上するでしょう。
4.PIMを導入すべき企業とは
① 商品ラインナップが多様な企業
多くの商品を扱う企業では、各商品の情報を一元管理することが重要です。PIMシステムを導入することで、複雑な商品情報の管理が容易になり、データの一貫性を保つことができます。商品ラインナップが多様な企業では、異なる商品情報の管理にかかる手間やリスクを大幅に削減できます。
② 新商品の投入やリニューアルが頻繁にある企業
頻繁に新商品を投入したり、既存商品をリニューアルする企業では、迅速かつ正確な情報提供が求められます。PIMシステムは、新商品情報の収集・整理・配信を効率化し、市場投入までの時間を短縮します。また、リニューアル情報の更新も容易になるため、顧客に対する最新情報の提供が可能となります。
③ グローバル展開を行っている企業
多言語対応が必要なグローバル企業では、各市場に合わせた商品情報を一元管理することが求められます。PIMは、多言語対応機能を備えており、各国市場向けの情報管理を効率化します。グローバル展開を行う企業にとって、PIMは異なる地域や文化に対応した正確な情報提供を支援する重要なツールです。
④ オムニチャネル戦略を採用している企業
オンラインとオフラインの両方のチャネルで商品を販売する企業では、すべてのチャネルで一貫した商品情報を提供することが重要です。PIMは、マルチチャネル配信機能を持ち、オムニチャネル戦略を強化します。これにより、顧客はどのチャネルでも統一された購買体験を得ることができます。
PIMを導入すべき企業は、このような特徴を持つ企業であり、効率的かつ効果的な情報管理が求められるビジネス環境において、そのメリットを最大限に活用することができます。
5. PIMの導入におけるポイント
PIM(Product Information Management)は、商品情報の一元管理によって業務効率化や情報の正確性向上を図る非常に有効なツールです。しかし、PIMは単にシステムを導入すればすぐに効果が出るわけではありません。自社の業務フローや目的に沿った運用設計や業務設計をしっかりと行うことが成功の鍵となります。
ここでは、PIMを導入する際に押さえておきたい具体的なステップや、自社に合ったPIMを選ぶためのポイントについて解説します。
PIM導入までの流れ
PIMの導入にあたって重要なのは、「目的に応じた設計と運用の準備」を行うことです。企業ごとに業務フローや活用目的が異なるため、PIMもそれに合わせて柔軟に設計する必要があります。
まずは、自社の商品情報がどのように扱われているかを現状分析し、どの業務にどのような課題があるのかを明確にします。その上で、将来的にどのような運用体制を目指すのか、情報の流れをどう構築したいのかといった「理想の業務設計」を行い、それに合わせてPIMの設計・構築を進めていきます。
特にPIMは、マーケティング部門、商品部門、システム部門など複数の部門が関与するため、部門間の連携も重要なポイントになります。システムの導入と並行して、業務フロー全体の見直しを行うことが、PIM導入成功のカギを握ります。PIMシステムの立ち上げまでを詳しく説明したこちらのコラム「CIERTO PIM」の導入~ご発注から運用開始までのプロセス~」も参考にしてください。
自社にあったPIMの選び方
PIMを選定する際は、自社の業務プロセスや目的に適した機能を持っているかを見極める必要があります。そのためには、まず現状の業務プロセスを丁寧に分析し、課題と改善ポイントを明確にすること。そして、理想とする業務フローを定義した上で、その実現を支援できるベンダーかどうかを判断材料とすることが重要です。
また、PIMの導入目的として、WebサイトやECサイト、カタログなど複数の媒体への商品情報の出力を想定する企業が多く見られます。このような場合に特に注意したいのが「デジタルアセットの管理」です。どれだけ商品情報をPIMで統合管理していても、画像や動画などのデジタルアセットが各所に散在していては、業務の効率化にはつながりません。
そのため、PIMと連携して画像や動画といったデジタルアセットを一元管理できる「DAM(Digital Asset Management)」機能をあわせ持った製品を選ぶことが理想的です。PIMとDAMが一体となったシステムであれば、商品情報と関連データを一貫して管理でき、制作業務や配信業務の効率化が飛躍的に向上します。
5.DAM(デジタルアセットマネジメント)との組み合わせによる相乗効果
商品情報を適切に管理する上で、DAMは非常に重要な役割を果たします。商品写真や説明イラスト、商品紹介動画などの商品関連アセットを一元化することで、効率的なデジタルコンテンツの活用と商品ブランディングの強化を実現します。
PIMで管理される商品情報は、ECサイト、商品サイト、カタログ、アプリ、SNS、店舗販促など、多岐にわたる販促媒体を制作する際に必要となります。同様に、これらの販促媒体を制作する際に、必要となるのが画像や動画などのリッチコンテンツです。しかし、これらの情報(商品情報とリッチコンテンツ)が分散して管理されていると、重複作業や情報の取り違いが生じ、制作プロセスの生産性が著しく低下するおそれがあります。さらに、品質の低下にもつながりかねません。
このような問題を回避し、効率的で品質の高い販促媒体を制作するためには、PIMとDAMの連携が非常に重要です。PIMは商品情報の一元管理を担い、DAMはリッチコンテンツの効果的な管理を実現します。両者が連携することで、企業は正確で統一された情報を活用しつつ、多様な販促媒体を効率よく制作することが可能になります。さらに、リッチコンテンツの再利用や多言語対応などもスムーズに行え、グローバル展開における一貫性の確保にも寄与します。
したがって、PIMとDAMの統合は単なる効率化だけでなく、企業のマーケティング戦略の中核を成す重要な要素であり、競争力強化に向けた重要な一手と言えます。